「フレッツ光の速度が遅い気がする」と感じたことはありませんか?
フレッツ光ユーザーの中でも不満の声はありますが、インターネットの速度は日常生活や仕事の効率にも直結します。YouTubeやNetflixの動画の読み込みが遅かったり、Zoom会議で声が途切れたりすることで、かなりストレスを感じるものです。
ただし、「遅い」と感じる原因は、必ずしもフレッツ光そのものにあるとは限りません。
そこで今回の記事では、フレッツ光が遅くなる原因を分かりやすく解説するほか、その対策についても実践的にご紹介します。
フレッツ光のサービス構造や仕組み
まずは「フレッツ光」のサービス構造について簡単に整理しておきましょう。
フレッツ光は、NTT東日本およびNTT西日本が提供している光回線サービスです。日本全国で利用できるため、マンションや戸建てを問わず導入されていることから、利用者も非常に多いことが特徴です。
回線速度が遅くなってしまう構造的な要因
フレッツ光の通信は、「NTT回線設備」と「契約しているプロバイダ」の2つで成り立っています。
実際にインターネットを利用する際には、NTTの光回線網(NGN)を通過して、インターネットサービスプロバイダ(ISP)を経由して、ウェブサイトや動画サーバーに接続される仕組みです。
ここで注意したいのが、このNGN回線が基本的に「共有型」であるという点です。
同じ地域の利用者同士で帯域(通信の通り道)を分け合って使っているため、夜間や休日などに利用者が集中すると、混雑によって速度が低下しやすくなります。
IPv4とIPv6という接続方式の違い
もうひとつのポイントが「IPv4(PPPoE接続)」と「IPv6(IPoE接続)」という接続方式の違いです。
現在でも多くのユーザーが「IPv4」という旧来の通信方式を使っていて、この方式では通信が混雑しがちになってしまいます。一方で、「IPv6」は新しい接続方式であり、混雑しにくい構造を持っているため、高速かつ安定した通信が可能です。

フレッツ光が遅くなる6つの原因
フレッツ光を使っていて「遅い」と感じる際、実際には複数の要因が絡んでいることがほとんどです。ここでは、主に考えられる6つの原因をご紹介します。
原因①:夜間・週末の回線混雑
特に20~23時の時間帯は、動画視聴やオンラインゲームなどの利用が集中する「混雑時間帯」です。フレッツ光は、NTTの「NGN」というネットワークを多数のユーザーで共有しているので、この時間帯に混雑が起こりやすく、回線速度が一気に低下します。
原因②:IPv4接続でのボトルネック
従来の通信方式であるIPv4接続は、混雑の影響を受けやすい構造です。
代表的なのが網終端装置(ONU)という「光回線とインターネットサービスプロバイダ(ISP)」を接続するIPv4に採用されている機器です。各ユーザーの処理に必要な容量が限られているため、不足すると混雑が発生してしまいます。
原因③:WiFiルーターの位置が悪い
自宅のWiFi環境も速度低下の要因です。
古いルーターを使っていたり、壁や家具の影響を受ける場所に設置されていたりすると、回線自体は早くても実際の体感速度は落ちてしまいます。特に「2.4GHz帯」は、障害物には強いですが、電子レンジやBluetoothと干渉しやすく、速度・安定性が不安定になりがちです。
原因④:パソコン・スマホ側の処理能力不足や設定の不備
パソコンやスマホなどの端末が古かったり、バックグラウンドで大量のアプリが動作していたりすると、回線速度に関係なく通信が重く感じられます。また、ウイルスソフトの誤作動やブラウザの拡張機能が影響する場合もあります。
原因⑤:同じマンションでの利用者が多い
集合住宅の場合、建物内に1本の光回線が引き込まれ、それを各部屋で分け合う「マンションタイプ(VDSL方式含む)」が主流です。この場合、同じ建物内で利用者が多いと速度が低下しやすくなります。
特に古い建物では最大100MbpsのVDSL方式が使われていることがあり、物理的に速度の限界があります。
原因⑥:通信障害が発生している
回線の品質に問題がなく、WiFiや端末の設定も正常なのに、突然インターネットが極端に遅くなったり繋がらなくなったりする場合には、通信障害が発生している可能性があります。
通信障害とは、NTTや契約中のプロバイダもしくは地域の中継設備などでシステムトラブルや保守作業が行われ、一時的に接続が不安定になっている状態のことです。利用者では解決できない問題のため、状況を見極めて対処する必要があります。
フレッツ光が遅いのを改善する6つの方法
フレッツ光の速度が遅いと感じたとき、すぐにできる対策は意外と多くあります。ここでは、ユーザー自身の環境を見直して改善するための方法を6つご紹介します。
対策①:IPv6対応の接続に切り替える
最も効果的なのが、IPv6(IPoE方式)への切り替えです。従来のIPv4(PPPoE方式)は混雑しやすく、夜間や週末には極端に速度が落ちる傾向にあります。
最近では多くのプロバイダがIPv6対応プランを提供しているので、申し込みやルーター設定の変更だけで切り替えが可能です。対応の可否は、プロバイダの公式サイトで確認できます。
補足:フレッツ光プロバイダでは「IPv4 over IPv6」が主流
IPv6接続に切り替えた場合でも、多くのサービスではIPv4で動作しています。このときに使われるのが「IPv4 over IPv6(v6プラス)」という技術で、IPv4の通信をIPv6の高速なネットワーク上に「カプセル化」して通す方式です。
これにより、IPv4対応サイトもIPv6の速度と安定性で利用できるようになります。フレッツ光や光コラボの主要プロバイダのIPv6プランでは、この技術がすでに組み込まれています。
対策②:プロバイダを変更する
現在のプロバイダが混雑しやすい時間帯に対応できていない可能性があります。その場合、より帯域に余裕のあるプロバイダへ乗り換えることで改善が期待できます。
特に、利用者数の多い安価なプロバイダは、回線が混雑しがちです。逆に、やや料金が高めでも安定性を重視しているプロバイダは、速度面で優れていることが多いです。
プロバイダ変更は手続きが少し面倒ですが、フレッツ光を使い続けたまま契約先だけ変更できるので、回線工事は不要です。
対策③:WiFi環境を整える
ルーターが古い場合や、適切でない場所に設置している場合、自宅内の通信環境が大きく劣化します。「少し離れると電波が弱くなる」「動画が途中で止まる」などの症状があるなら、WiFi環境を見直すタイミングです。
まず、ルーターは最新の「Wi-Fi7(11be)」、少なくとも「Wi-Fi6(11ax)」より新しい規格のモデルを使うのが望ましいです。また、電子レンジや壁の影響を受けにくい5GHz帯を利用することで電波障害が減り、速度が安定します。
対策④:LANケーブルを交換する
意外と見落としがちなのがLANケーブルの規格です。古い「カテゴリ5(Cat5)」のケーブルは、最大でも100Mbpsまでしか対応していません。
【LANケーブルの規格一覧】
規格 | 最大通信速度 | 伝送帯域(MHz) |
カテゴリ5(Cat5) | 100Mbps | 100 |
カテゴリ5e(Cat5e) | 1Gbps | 100 |
カテゴリ6(Cat6) | 1Gbps | 250 |
カテゴリ6A(Cat6A) | 10Gbps | 500 |
カテゴリ7(Cat7) | 10Gbps | 600 |
カテゴリ8(Cat8) | 40Gbps | 2000 |
最新のカテゴリ8(Cat8)が理想ですが、カテゴリ6A(Cat6A)より新しいLANケーブルを選べば、高速通信にも対応できます。パソコンやルーターとの接続部分のケーブルをチェックしてみてください。
対策⑤:端末の再起動や初期化
通信速度が遅くなった場合は、ルーターやパソコン、スマホを一度再起動してみましょう。メモリの一時的なバグやバックグラウンド処理の影響で速度が落ちていることもあります。
それでも改善しない場合は、ルーターの初期化(リセット)や、OSのアップデート、不要なアプリの整理などを行うと改善するケースがあります。
対策⑥:使用する時間帯をズラす
根本的な解決にはなりませんが、混雑する時間帯を避けて使うのも1つの手段です。
特に夜8時~11時はインターネット利用者が最も多い時間帯なので、それ以外の時間に動画のダウンロードやファイルのアップロードといった重たい作業を行うことで、ストレスなく利用できます。
また、使っていない機器の接続を切るなど、WiFiの同時接続数を減らすだけでも、速度が改善することがあります。
それでも遅いなら「光コラボ」への転用がおすすめ
さまざまな対策をしてもフレッツ光の速度が改善しない場合、「光コラボレーション(光コラボ)」への転用を検討してみましょう。
光コラボとは、NTTのフレッツ光回線をそのまま使いながら、独自のサービスを提供する他の事業者(ビッグローブ光やソフトバンク光など)に契約を切り替える方式です。物理的な回線装置は変わらないため、工事不要で乗り換えが可能です。
転用による速度改善のポイントは、事業者ごとに提供される「専用帯域の確保」や「v6プラス」といった高品質な通信方式です。
さらに光コラボには、スマートフォンとのセット割引が用意されていて、通信費全体を見直すきっかけにもなります。
スマホとセットにして通信費を節約
光コラボへの転用を検討する際、忘れてはならないのが「スマートフォンとのセット割」です。多くの光コラボ事業者は、特定の携帯キャリアと組み合わせることで、月額料金が割引になるサービスを提供しています。
このセット割を上手く活用すれば、ネット+スマホの通信費をまとめて安く抑えることが可能です。特にスマホはキャリア系の「格安SIM」にすることで、通信品質を維持しつつスマホ代を安くでき、セット割による割引まで受けられるので、二重に節約できます。
ここでは、料金メリットとサービスバランスに優れた3つの組み合わせを紹介します。
おすすめ①:ビッグローブ光 × UQモバイル
(出典:ビッグローブ光申し込みサイト)
格安SIMでありながら速度に定評のあるUQモバイルと、IPv6対応で安定感のある「ビッグローブ光」を組み合わせると、毎月のスマホ代が最大858円(税込)割引される「自宅ネット割」が適用されます。
UQモバイルは基本料金がもともと安いので、家族全体の通信費を大幅に削減できるのが魅力です。さらに、ビッグローブ光はIPv6(v6プラス)対応で、夜間も比較的速度が落ちにくい点でもメリットがあります。
【おすすめポイント】
✅最大97,000円のキャッシュバック(代理店からの申し込み)
✅ファミリー、マンションタイプともに初期工事費が無料
✅移転工事費が無料

おすすめ②:ドコモ × irumo
(出典:ドコモ光申し込みサイト)
ドコモユーザーにおすすめなのが「ドコモ光×irumo」の組み合わせです。irumoはドコモが提供するシンプルな料金設計の格安ブランドで、1~9GB程度の低容量ユーザー向けプランが特徴です。
ドコモ光とセットにすることで「ドコモ光セット割」が適用され、irumoの月額料金が最大1,100円(税込)割引されます。dカード払いにすればdポイントも貯まりやすくなるので、実質的な節約効果がさらに向上します。
【おすすめポイント】
✅最大55,000円のキャッシュバック(代理店からの申し込み)
✅他社からの乗り換えで、違約金のうち最大25,000pt還元(dポイント)
✅新規工事費が実質無料

おすすめ③:ソフトバンク光 × ワイモバイル
(出典:ソフトバンク光申し込みサイト)
ソフトバンクユーザーやワイモバイルユーザーにとっては、ソフトバンク光 × ワイモバイルが最もお得です。毎月最大1,100~1,650円の割引が受けられる「おうち割 セット割(A)」が提供されていて、条件を満たせば割引が適用されます。
また、ワイモバイルはサブブランドでありながら通信速度が速く、都市部でも安定した通信品質を維持しています。ソフトバンク光もIPv6により、高速通信が期待できます。
✅最大28,000円のキャッシュバック(代理店からの申し込み)
✅他社の違約金や退去費用を満額還元
✅工事費が実質無料

キャリア系3社セット割の比較表
組み合わせ | 住居 | 光回線の料金 | 平均通信速度 | セット割 | キャッシュバック | |
ビッグローブ光×UQモバイル | 戸建て | 5,478円 | 下り | 434.4Mbps | 最大858円 | 最大97,000円 |
マンション | 4,378円 | 上り | 356.6Mbps | |||
ドコモ光×irumo | 戸建て | 5,720円 | 下り | 427.06Mbps | 最大1,100円 | 最大55,000円 |
マンション | 4,400円 | 上り | 365.01Mbps | |||
ソフトバンク光×ワイモバイル | 戸建て | 5,720円 | 下り | 470.78Mbps | 最大1,650円 | 最大28,000円 |
マンション | 4,180円 | 上り | 404.77Mbps |
※料金は税込み
※キャッシュバックは代理店経由で申し込んだ場合の金額
※通信速度(実測値)は「みんなの回線速度」から抜粋

フレッツ光が遅いと感じたら改善してみよう
「フレッツ光が遅い」と感じても、必ずしも回線を諦める必要はありません。まずはIPv6対応への切り替えやWiFi環境の見直しなど、身近なところから対策してみるのが有効です。
それでも改善が見られない場合は、光コラボへの転用を検討しましょう。設備はそのままでも、事業者ごとの専用帯域や高速通信オプションによって、体感速度が大きく変わることもあります。
さらに、スマホとのセット割を活用すれば、通信費全体を最適化することも可能です。自分の用途やライフスタイルに合った組み合わせを選ぶことで、快適なネット環境と家計の節約を同時に叶えられるでしょう。