近年、光回線の営業電話による詐欺まがいの勧誘が問題になっています。
国民生活センターに寄せられた「電気通信サービスに関する消費生活相談」は、2024年度で10,237件（10月31日までの統計）でした。2020年以降は減少していたものの、2023年から再び増加傾向にあります。
引用：国民生活センター「電気通信サービスに関する消費生活相談の最近の傾向について」
「今より安くなる」「このままだとインターネットや固定電話が使えなくなる」
といった不審な電話が多く、不安にさせる手口が横行しています。
そこで今回の記事では、悪質な業者の特徴や正規代理店の違い、被害を避けるための対策を解説します。
光回線の営業電話が増えている理由
光回線の営業電話が増えている理由は、次のとおりです。
- 契約数が頭打ちになっている
- 競争激化による代理店制度の拡大
- 高速回線ニーズの高まり
上から順番に、詳細を説明していきます。
理由①：契約数が頭打ちになっている
1つめの理由は、契約数が頭打ちになっていることです。
近年、光回線の市場は成熟していて、新規契約者の伸びが鈍化しています。多くの家庭や企業は光回線を導入していることが多く、新規顧客の獲得が難しくなっているのが現状です。
そのため、事業者や代理店は新規契約だけでなく、他社からの乗り換え（転用や事業者変更なども）を促すような営業活動に注力しています。特に営業電話は、直接契約を促せることから、利用されることの多い手段といえます。
以上の理由から、
「今より安くなる」「お得な特典を用意している」
といったセールストークで契約を引き出そうとするケースが増えているのです。
理由②：競争激化による代理店制度の拡大
2つめの理由は、競争激化による代理店制度の拡大です。
光回線市場は、大手回線事業者を中心に激しい競争が続いていて、新規顧客の獲得や他社からの乗り換えを目的に、代理店制度を積極的に活用する戦略が強化されています。正規代理店であれば、適正な範囲内で営業活動を行います。
しかし、一部の業者は高額なインセンティブを得るために、強引な営業や詐欺まがいの営業を行うケースもあるのです。特にノルマ達成を最優先にしている代理店では、消費者に不利益となる契約を推し進める事例も報告されています。
こうした背景により、消費者トラブルが増えているので、強引な営業電話や詐欺まがいの営業電話には注意が必要です。
理由③：高速回線ニーズの高まり
3つめの理由は、高速回線需要の高まりです。高速回線とは、光回線なら5Gbpsや10Gbps、モバイル回線なら5G（ファイブジー）といった高速で通信できる回線のことです。
新型コロナの影響でテレワークやリモートワークが急速に普及したため、安定した高速インターネット回線の需要が大幅に増えました。需要の高まりにより、より高速で安定した高速な光回線への乗り換えを検討する家庭や個人事業主が増えたことから、回線事業者や代理店の営業活動も活発化したのです。
「今の回線では仕事に支障が出るかもしれない」「このままでは回線速度が遅くなる」
といった消費者の不安をあおる、あるいは詐欺まがいの営業トークが増えているため、適切な判断が求められます。
詐欺まがいな光回線営業の手口と対処法
光回線の営業電話の中には、正規代理店からの適切な案内もありますが、一部では詐欺まがいの手口を使って契約を迫る悪質業者も存在します。近年は光回線に関する消費者相談が年間1万件も発生しているように、トラブルが多発しています。
では、その詐欺まがいな営業電話の手口と対処法をご紹介します。
- 大手キャリアを名乗って嘘をつく
- 覚えのない複数のオプションを契約
- 強引な勧誘で即決を迫る
上から順番に、詳しく説明していきます。
手口①：大手キャリアを名乗って嘘をつく
悪質な業者の中には、「docomo」「au」「SoftBank」といった大手キャリアを名乗って信頼させようとする詐欺まがいの手口があります。実際には、これらの企業とは関係のない代理店が、あたかも公式の事業者であるかのように装って、契約の変更を促すのです。
消費者は、現在契約中の会社からの正式な案内であると勘違いしやすく、信じてしまうケースが多いのです。しかも、このような営業では以下のような営業トークを使って、本当の契約内容を消費者に確認させないまま、契約変更を迫るのが定番です。
まずは会社名や名前といった相手の情報をしっかりと確認して、希望しない契約は結ばないことが大切です。正規代理店と悪質業者の詳しい見分け方の詳細については、後述します。
手口②：覚えのない複数のオプションを契約
悪質な光回線の電話営業では、覚えのない複数のオプションを契約させるのも、よくある手口のひとつです。
消費者は「無料で使える」と説明されて契約したのに、実際にはオプションが追加されていることに気づかない場合があります。さらに、「無料で使える期間がある」と言って契約させて、後から高額な料金を請求するという詐欺的な手法も定番です。
契約内容をよく確認せずにサインすると、後日不要なオプション料金が発生するので、契約時には必ず説明を受けて内容を理解することが大切です。オプションは途中で解約すると、「違約金の発生」や「割引の無効」といったペナルティが課せられることもあるため、本当に必要なオプションだけを契約しましょう。
手口③：強引な勧誘で即決を迫る
悪質な営業電話の特徴として、「今すぐに決めないと損をする」といったように、消費者を焦らせて契約に持ち込む手法もあります。
- 「今日中に申し込めば特別割引が適用される」
- 「この電話を切ると、二度とこのプランには申し込めません」
こうした営業トークにより、消費者に冷静な判断をさせないようにします。
しかし、本当にお得なキャンペーンであれば、消費者が十分に検討できる期間を設けるのが一般的です。電話口で強引に即決を求める営業は悪質業者の可能性が高いので、絶対にすぐに契約しないように注意してください。
また、契約する意思がない場合は、はっきりと断ることが重要です。
正規代理店と詐欺まがいの業者の見分け方
光回線の営業電話を受ける際は、正規代理店と悪質業者を見分けることが非常に重要です。悪質な営業電話では、消費者を混乱させて契約させて契約を急がせることはよくありますが、正規代理店は正当な手続きと丁寧で明確な説明で契約を進めることが基本です。
光回線の提供には「電気通信事業法」という法律があり、事業者は「氏名」「勧誘であること」を消費者に告知する義務があるからです。代理店はこれらに加えて、「回線事業者の氏名または名称」を伝えなければなりません。
正規代理店と悪質業者、違いと見分け方は次のとおりです。
- 会社名や提供サービスが明確
- キャンペーン適用の条件が透明である
- 回線事業者に確認する
では、それぞれの詳細を見ていきましょう。
見分け方①：会社や提供サービスが明確
正規代理店の場合、最初に自分たちがどの会社の代理店であるか、どんなサービスを提供しているのかを明確に伝えます。そして、消費者が納得できるように話を進めていきますし、曖昧な表現や漠然な言い方はしません。
つまり、「〇〇光回線の代理店の〇〇です。〇〇というサービスをおすすめしています。」といったように具体的な説明がない場合は、その営業電話は疑った方がいいでしょう。
大手キャリアを名乗って誤認させるような手法は法律違反なので、勧誘を受ける際は必ず会社名や相手の情報を確認して、必要のない契約は結ばないようにしましょう。契約してしまった場合は、8日以内であれば契約者の都合で契約を解除できる「初期契約解除」を利用できます。
見分け方②：キャンペーン適用の条件が透明である
光回線の正規代理店は、キャッシュバックや割引といった特典の内容が明確であり、適用条件が透明であることが求められます。
たとえば、キャッシュバックの場合は、その受け取り方法や期間、条件などを消費者に説明する義務が課せられています。
一方で、悪質業者の営業電話では「キャッシュバックがあります。」という説明だけで、詳細は伏せることがほとんどです。また、「条件の変更により、キャッシュバックは受け取れない」と後になって言い出すこともあります。
このような事例は詐欺行為の可能性が高いので、騙されないように注意が必要です。
見分け方③：回線事業者に確認する
営業電話をかけてきた会社が、正規代理店かどうかを確認するための最も確実な方法は、回線事業者に確認することです。正確に調べられる方法は、大きく2つあります。
- 回線事業者に直接問い合わせる
- 販売サイトに正規代理店コードが記載されているか確認する
たとえば、NTT西日本が提供するフレッツ光の場合は、「NTT西日本お客様相談センタ」が問い合わせ窓口になっています。フリーダイヤルまたはお問い合わせフォームにて確認できます。
引用：NTT西日本公式サイト
また、正規代理店の販売サイトには必ず「NTT西日本販売代理店 代理店コード 1001066961」といった代理店コードが記載されているので、営業電話をかけてきた会社の販売サイトに記載があるか確認してみましょう。
口頭であっても契約は成立してしまうので、その場で慌てて契約しないことが確実です。問い合わせや公式サイトで正規代理店であるかを確認するなど、十分に検討してから決めるように心がけましょう。
信頼できる光回線の選び方
光回線の営業電話において、詐欺ではないかと不安を感じた際に最も重要なのは、信頼できるサービスを選ぶことです。選択肢が多いので、どの光回線を選べばいいか迷うこともありますが、適切な選び方を知ることで、不要なトラブルや過剰な出費を避けられます。
信頼できる光回線の選び方を具体的に解説し、詐欺まがいの悪質な営業電話に騙されないためのポイントも併せて紹介します。
個人向けならセット割引を活用する
個人向けの光回線は、セット割引が大きなポイントです。
セット割引とは、光回線とモバイル回線を同時に契約することで、割引が適用されるサービスのことです。月々の通信費を大きく削減できるので、非常にお得です。こうしたセット割引を上手く使えば、過剰な料金を支払うリスクは低減できます。
ビッグローブ光 × UQモバイル
（出典：ビッグローブ光申込サイト）
ビッグローブ光とUQモバイルのセット割引は、通信費の削減効果が高い選択肢です。
ビッグローブ光は、安定した回線速度と低価格が魅力な光回線であり、UQモバイルとのセット割引を活用すれば、さらにお得に利用できます。
UQモバイルは、au回線を利用していることが大きな特徴であり、エリアが広範囲かつ高品質な通信を提供しています。光回線とモバイル回線を組み合わせることで、通信費全体を下げることが可能です。
TCOMヒカリ × LIMBO
もうひとつの選択肢に、TCOMヒカリとLIMBOのセット利用があります。
TCOMヒカリは回線速度や品質が安定した光回線であり、LIMBOの格安SIMとセット割引を活用すれば、毎月の通信費を節約できます。
特にLIMBOは、データ通信量が少ない人に適したプランを提供しているため、使わないデータ量を抑えることで一層コストパフォーマンスが高くなります。
ソフトバンク光 × ワイモバイル
ソフトバンク光とワイモバイルのセットも、人気のある組み合わせです。
ソフトバンク光は、高速でありながら安定した光回線であり、ワイモバイルとのセット割引を利用することで、月々の料金を大幅に削減できます。
ワイモバイルはデータを翌月まで繰り越せることが強みであり、無駄なくデータを利用できるので、上手く利用することで、かなりの支出を減らせます。
法人・個人事業主なら「フレッツ光」がおすすめ
（出典：フレッツ光申込サイト）
オフィスや店舗などの法人や個人事業主は、安定したインターネット回線が業務には不可欠です。そのため、フレッツ光が最適な選択肢といえるでしょう。
フレッツ光は、NTT回線を利用したインターネット接続を利用しています。特に法人向けには、回線速度や品質が高く評価されています。提供エリアが全国なので、他社の光回線では対応していない地域を拠点とする個人事業主にも最適です。
ほかにも、オプションやサポートが充実しているため、長期的に安心して利用できることもフレッツ光をおすすめする大きな理由です。
営業電話による光回線の契約は慎重に
光回線の営業電話には、正規代理店からの案内と悪質業者の勧誘が混在しています。自身の情報を明確にしない、契約を急がせる、不安をあおる、不透明な料金説明をする業者には注意して、即決せずに慎重に判断しましょう。
怪しいと感じたら、公式サイトで正規代理店か確認して、しつこい営業電話には「必要がない」とはっきりと断ることが大切です。
信頼できる回線を選ぶことも重要で、ビッグローブ光×UQモバイル、TCOMヒカリ×LIMBO、ソフトバンク光×ワイモバイルといったセット割引を活用、法人ならフレッツ光をおすすめします。
悪質な営業電話に惑わされず、自分で最適な回線を選び、安全にインターネットを利用しましょう。
