光回線は、高速で安定したインターネット接続が可能なので、多くの家庭やオフィスで利用されています。しかし、通信速度が遅くなることがあり、その原因として「通信速度の制限」があげられます。
光回線を利用しているにもかかわらず、思ったような速度が出ないのは何が原因なのでしょうか？
そこで本記事では、光回線の速度制限について、その原因や対策方法について詳しく解説します。
光回線の基本的な特徴
光回線は、光ファイバーを利用してインターネット接続を提供する高速通信サービスです。
光ファイバーは電気信号ではなく光信号を用いてデータを送受信するため、非常に高速で安定した通信が可能です。このため、光回線は家庭やオフィスでの利用に最適であり、大容量のデータ送受信や、複数のデバイスを同時に接続させても快適に利用できます。
引用：フレッツ光
動画の視聴やオンラインゲーム、テレワークといった高速な通信が求められるような用途では、特に高い能力を発揮します。
光回線の普及によって手軽に高速インターネットの利用が可能になりましたが、同時にインターネットの速度に関する不安も増えてきました。そのため、通信速度が低下する原因や、それに対する対策を知っておくことが重要です。
光回線における通信速度の制限
まず、光回線の通信制限に関する基本的な内容を説明します。
一般的に、光回線の利用で速度に制限がかかることはありません。しかし、過度な利用や、特定の条件下で速度制限が発生する場合もあります。これらの制限は、事業者によって異なり、その理由や条件もさまざまです。
たとえば、光回線の代表的なサービスにフレッツ光や光コラボ（ドコモ光やソフトバンク光など）がありますが、これらは契約時に規定された最大速度を提供しています。動画の視聴やウェブ閲覧といった日常的なインターネット利用の範囲内であれば、その速度は持続されます。
光回線に速度制限がかかる5つの原因
先述した通り、光回線は通常の利用では速度制限がかかることはありません。しかし、特定の条件下では制限がかかることもあり、それは以下のような原因があります。
- 過度な負荷による速度低下
- ピーク時の混雑
- データ通信量の上限を超過
- インフラの限界
- 通信障害の発生
上から順番に、詳しく説明します。
原因①：過度な負荷による速度低下
過度な負荷がかかることも、速度が低下する原因の1つです。
特に大量のデータを送受信する場合や、複数の端末が同時にインターネットに接続しているような状況です。回線の混雑により帯域幅の争奪が発生してしまい、速度が低下して快適なインターネットを利用できなくなることがあります。
原因②：ピーク時の混雑
次に、同一回線を多数のユーザーが共有している集合住宅などは、過度な負担によって速度が制限される可能性もあります。多くのユーザーが同じインターネット回線を利用している場合、その回線がいっぱいになることがあり、結果として速度が低下してしまいます。
特に夜間や休日といった多くの人がインターネットを利用するような時間帯では、速度低下になりがちです。
原因③：月間データ通信量の上限を超過
一部の光回線では、月間データ通信量の上限を超過した場合に速度が制限されることがあります。不正アクセスや違法ファイルの共有といった悪質な利用への対処や、過剰な設備投資の抑制、全ユーザーに安定したサービスを提供するために、上限が設けられているのです。
たとえば、月間データ通信量の上限が設けられた光回線もあります。
引用：eo光
上記の場合、1ギガコースで月間5TBなので、通常の利用で上限を超過することはないでしょう。しかし、大容量データの送受信を頻繁に繰り返すようなケースであれば、速度が制限される恐れもあります。
原因④：インフラの限界
最後に、インフラの限界も速度に制限がかかる原因です。インフラの限界とは、以下のような状態を指します。
- 回線や設備が古い
- 提供されるサービスが技術的に制約されている
具体的には、光ファイバーと同軸ケーブルを組み合わせたハイブリッド方式のケーブル「HFC」では、純粋な光回線よりも通信速度が低下しやすくなります。また、古い規格のモデムやルーター、LANケーブルを使用していると最新の高速通信規格に対応できません。
プロバイダ側の設備が古く、「IPv4（PPPoE接続）」という旧規格の接続方式が採用されている場合には、利用者が増えると通信経路が混雑しやすく、速度の低下につながってしまいます。
つまり、物理的な回線の種類や、使用する機器や接続方式といった要因によって、通信速度に差が出てしまうのです。
原因⑤：通信障害の発生
通信障害が発生した場合、速度が低下したり、全くインターネットにつながらなくなったりすることがあります。
主な原因は、自然災害や動物、工事中のミスなどによるケーブルの切断、設備の故障などがあります。また、メンテナンスや設定変更のミス、サーバー障害といったトラブルの発生も珍しくありません。
デバイスや通信機器の再起動やケーブル類の再接続などでも速度が改善しない場合、回線事業者やプロバイダの公式サイトに最新情報が掲載されていないか確認してみましょう。
光回線の速度制限を回避する4つの対策
光回線における速度の制限や速度の低下を回避するには、以下の方法を試すことで改善が期待できます。
- ピーク時の混雑回避と利用の工夫
- 通信機器の最適化
- プロバイダの選択と変更
- 回線や契約プランの見直し
上から順番に、詳しく説明していきます。
対策①：ピーク時の混雑回避と利用の工夫
速度制限の改善において手軽に行える対策は、ピーク時の混雑回避と利用の工夫です。
通常の利用時でも、特に夜間や週末といったインターネット利用者が増える時間帯を避けることで、快適に利用できます。混雑しやすい時間帯は回線の負荷が高まっているため速度が低下しやすいので、できるだけ避けて利用するのが賢明です。
ほかにも、通知やクラウドサービスの自動更新といったバックグラウンドアプリケーションや、不要なデバイスの接続を切ることで通信速度を確保できます。
上記のような方法で、ほかの重要な作業やデバイスへの影響を最小限に抑えられます。
対策②：通信機器の最適化
比較的手軽に行える通信機器の最適化も、速度の制限を改善するための重要な対策のひとつです。特に、ルーターやONUのアップグレードを行うことで、通信速度の向上が期待できます。
「WiFi7」や「WiFi6」といった最新のWiFi規格に対応した機器に変更することで、最大通信規格や最大同時接続数が向上します。複数のデバイスを同時に接続しても通信速度が低下しにくくなり、快適なインターネット環境を維持できます。
また、ルーターの設置場所の変更やWiFiの干渉を避けるために異なるWiFiの周波数帯（2.4GHz帯と5GHz帯を使い分ける）を選ぶことでも、通信環境が改善されます。
WiFi周波数帯の使い分け
WiFiの周波数帯には「2.4GHz」と「5GHz」があり、それぞれ異なる特徴があります。
| 5GHz | 2.4GHz | |
| メリット | ・通信が高速かつ安定
・電波の干渉を受けにくい |
・電波が遠くまで届く
・障害物の影響を受けにくい |
| デメリット | ・障害物の影響を受けやすい | ・電波の干渉を受けやすい |
5GHz帯は、WiFi専用の周波数帯なので電波の干渉を受けにくく、安定した通信が可能です。しかし、壁や床といった障害物には弱いので、遠くまで電波が届きにくいというデメリットがあります。
一方の2.4GHz帯は障害物に強く、遠くまで電波が届くという特徴があります。しかし、家電にも使用される周波数帯なので、たとえば電子レンジの使用中には電波干渉が起こり、通信が不安定になりがちです。
上記を柔軟に使い分けることで、通信環境を改善できる場合があります。
対策③：プロバイダの選択と変更
速度の制限を防ぐのに最も有効な方法は、プロバイダの選択と変更です。
特に、IPv4（PPPoE接続）にしか対応していないプロバイダを契約している場合に効果的です。IPv6（IPoE接続）またはIPv4 over IPv6対応のプロバイダに乗り換えることで、速度の改善が期待できます。
プロバイダを変更できる光回線は、「フレッツ光」と一部の「光コラボレーション」が代表的です。速度の改善だけでなく、自分の目的や用途に応じた変更も可能です。
家庭でのインターネット利用がほとんどであれば、「速度や安定性を重視したプロバイダ」。ビジネス利用が多い場合には、企業向けの「安定した接続を提供するプロバイダ」といったように柔軟に変更できます。
対策④：回線や契約プランの見直し
プロバイダを変更できない光回線であれば、回線事業者や契約プランの見直しを検討してみましょう。
乗り換え先の事業者によっては、解約・新規契約時に発生する以下の費用を負担してもらえることがあります。
- 解約時に発生する「違約金」や「工事費の残債」
- 乗り換え後の「工事費」や「契約事務手数料」
たとえば、ビッグローブ光から楽天ひかり、ドコモ光からソフトバンク光といったように「異なる光コラボへの乗り換え」は新規工事費や違約金が発生しないので、少ない負担で事業者を変更できます。
速度が改善しない場合の最終手段として、回線や契約プランの変更をおすすめします。さらに、通信費を節約するのであれば、光回線とスマホのセット割を検討してみましょう。
おすすめの「光回線×スマホ」のセット利用方法
光回線の中には、スマホとセットで利用すると何らかの料金が割引される「セット割」が適用されることがあります。そのセット割を活用すると、速度の改善だけでなく通信費の節約につながるので、検討してみてください。
ビッグローブ光×UQモバイル
（出典：ビッグローブ光申込サイト）
ビッグローブ光とUQモバイルのセット割引は、通信費を大幅に節約できます。
ビッグローブ光は、光回線とプロバイダがセットになった光コラボ事業者です。UQモバイルと同時に契約すれば「自宅セット割」が適用されます。
【メリット】
- スマホ料金が最大1,100円（月額）割引（10回線まで）
- IPv6対応で、混雑しやすい時間帯でも快適に利用できる
- UQモバイルのような格安SIMでも割引が適用される
「自宅セット割」は、UQモバイルユーザーやスマホ料金を節約したい人におすすめです。
ニフティ光×UQモバイル
（出典：ニフティ光申込サイト）
もうひとつの選択肢として、ニフティ光とUQモバイルのセット利用があります。
ニフティ光は高速かつ安定した通信が特徴で、プロバイダ一体型のため手続きがシンプルです。UQモバイルとの同時契約で、「自宅セット割」が適用されます。
【メリット】
- スマホ料金が最大1,100円（月額）割引（10回線まで）
- IPv6対応の高速かつ安定した通信が可能
- プロバイダ一体型で手続きがシンプル
ニフティ光とビッグローブ光は共通する点も多いですが、違いがあります。
ニフティ光はマンションの料金が税込4,074円から（ビッグローブ光は税込4,378円～）と安く、ビッグローブ光は戸建てが税込5,478円から（ニフティ光は税込5,720円～）という違いがあります。
ソフトバンク光×ワイモバイル
ソフトバンク光とワイモバイルの組み合わせも、お得に利用できます。
ソフトバンク光も、別途プロバイダ契約が不要な一体型の光回線です。ワイモバイルとの同時契約で「おうち割 光セット」が適用されるので、月々の通信費を大幅に削減できます。
【メリット】
- ワイモバイルは余ったデータを翌月まで繰り越せる
- ソフトバンク回線ならではの安定した通信
- お得なキャッシュバックや工事費無料キャンペーン
「おうち割 光セット」は、ワイモバイルユーザーやソフトバンクの安定した回線を利用したい人におすすめです。
法人の利用におすすめの光回線
（出典：フレッツ光申込サイト）
法人やオフィス利用では、高速かつ安定した回線が求められるので、「フレッツ光+プロバイダ」の組み合わせがおすすめです。
ビジネスニーズに適応する安定した通信速度を提供しているほか、大容量データの送受信や高頻度の通信に対応できます。速度だけでなく、サポートやセキュリティ面でも大きなメリットがあります。
光回線の速度制限を改善して快適な環境を
光回線の速度制限は、過度な利用や回線の混雑が主な原因になっていることがほとんどです。また、「最新の機器の導入」や「プロバイダや回線事業者の変更」、「契約プランの見直し」といった対策によって制限を回避できる場合もあります。
そして、回線事業者の変更時にスマホとのセット割を上手く活用することで、速度を改善しつつ毎月の通信費用を節約できます。
今後の技術の進歩にも期待しながら、快適なインターネット環境を整えましょう。
