大手家電量販店に行くと、色々な光回線が顧客獲得のために鎬を削っています。
数多い光回線サービスが有る中で、何を選べば良いのか?明確な指針を持っている人の方が少く、結果的に「どこを選んでも同じだろう」、それなら毎月のスマホ代から割引が受けられる、通信キャリア(ドコモ・au・ソフトバンクなど)の、ショップでの契約を選択するユーザーが多くなっています。
目に見える物を買う物販とは異なり、目に見えないサービスを買う光回線では、その選択には企業・ブランドの信頼感も大きな要素になります。
確かに3大キャリアのブランドは絶大な信頼があり、「技術力もあって下手なことはしないだろう」という安心感も、選択される大きな理由の一つです。
しかし、今はスマートフォンで色々なことが簡単に調べられる時代ですから、ちょっと掘り下げて光回線サービスを調べてみようと考える方も多く、支払い金額は安い方が良いに決まっていますので、コスパから調査をしていくと結果的に出てくる名前として、「GMO光アクセス」と「OCN光」に行き着く方が多いです。
この結論に、「インターネットの世界は、やっぱり凄いなぁ~」と実感します。
数多くの光回線サービスを見てきた立場から見ても、「GMO光アクセス」と「OCN光」は、どちらも多くの方に自信を持ってオススメ出来る、両雄のサービスだと言えます。
直接誰に聞くわけでも無く、手元のスマホで手軽に情報が集められるインターネットは、良質で無制限に利用出来る光回線を使えば、もっと出来る事が広がって楽しいですよ。
コスパの高い人気の2大光回線サービス、「GMO光アクセス」と「OCN光」のどちらが良いのか?どちらがお得なのか?解説していきます。
「GMO光アクセス」と「OCN光」どんな会社がやってる?
大手の通信キャリアに比べれば、「GMO」も「OCN」も知名度は今ひとつ無く、ご存じない方も多いと思います。
どんな企業が運営しているのか?大丈夫なのか?気になりますよね。
結論から申し上げると、全く心配無用な企業が運営しています。
2つの会社の詳細を見てみましょう。
GMO光アクセスの運営会社
GMO光アクセスを運営しているのは、GMOインターネットグループ株式会社です。
企業概要
1991年5月に設立された、インターネット事業全般を行っている企業です。
2005年に東証1部(現在は東証プライム)に上場していて、資本金は50億・従業員数は5,700人を超える大企業です。
通信事業の歴史
GMOインターネットグループ株式会社のルーツは、1991年に創業した株式会社ボイスメディアで、パソコン通信のアクセス拠点に始まっています。
パソコン通信の時代を経て、インターネットが普及し始めた1995年には、プロバイダ業務をスタートさせています。
この時代はダイヤルアップ接続が主流で、プロバイダ契約を行って月々の料金を支払い、決められた時間内でインターネットが行えるのが一般的でした。
この常識を打ち破り、当時NTTが提供していたダイヤルQ2のサービス(NTTが情報料を立て替えて固定電話の料金に加算)を使って、プロバイダへの申込みをする事無くインターネットを利用出来る「inter Q」を提供して、独自の存在感を発揮しました。
1995年にはサービス名をそのまま社名に変更して、インターキュー株式会社に商号変更を行っています。
2004年には個人向けインターネットプロバイダの老舗で、豊富な技術力があるベッコアメの、個人向けインターネット接続とホスティングサービス部門を買収して、自社のノウハウにしています。
OCN光の運営会社
OCN光を運営しているのは、NTTレゾナント株式会社です。
企業概要
NTTレゾナントは、その名の表すとおりNTTグループの企業です。
NTTグループでは2022年7月に、大規模なグループ組織の再編を行っています。
OCNブランドはNTTグループの通信中核ブランドで、OCN光などのインターネット事業はNTTコミュニケーションズ株式会社が行ってきましたが、先の再編で個人向けサービスの一切がNTTレゾナントに委譲されるのと併せて、NTTドコモ株式会社の完全子会社になっています。
NTTレゾナントは、NTTグループの個人向けインターネットサービスの中核企業と言えます。
通信事業の歴史
光回線サービスの中で、NTTグループと他社が最も異なるのは、単なる接続業者プロバイダの業務だけでなく、光回線を自社グループで敷設しているということです。
光回線の歴史はNTT東西が敷設している「フレッツ光」の歴史と言っても良く、2001年から現在の「フレッツ光」に繋がるBフレッツの本格提供を始めています。
フレッツ光は光回線の中で唯一、全国47都道府県全てでの利用が可能な回線で、プロバイダ業務までNTT東西が行うと、市場が硬直する懸念を持った総務省の指導もあり、NTT東西では直接プロバイダ業務を行っていません。
しかし、グループ内の企業ではプロバイダ業務を行っていて、OCNはその中心であり、NTTグループの技術ノウハウが集約されていると言っても、決して過言ではありません。
「GMO光アクセス」「OCN光」はどちらも光コラボ
「GMO光アクセス」も「OCN光」も、フレッツ光を使用する光回線サービス「光コラボ」の一つです。
光コラボについて、順を追ってご説明します。
実際に敷設されている光回線は多くない!?
数多くの光回線サービスが有るため、多くの光回線が敷設されているという誤解も招きがちですが、実際に敷設されている光回線の種類は限られています。
株式会社MM総研の2022年3月末時点のデータによれば、光回線のシェアは以下の通りです。
(出典:MM総研)
NTTグループ(NTT東日本+NTT西日本)は2326.6万件の契約があり、光回線のシェアは半数を大きく超える63.5%に達しています。
実際に敷設されている光回線は、「NTT東西」「電力系」「ケーブルテレビ系」などに限られていて、それほど多くありません。
では、なぜ?多数の光回線サービスが有るのか?その答えが「光コラボ」にあります。
光コラボは、NTT東西の光回線「フレッツ光」の2つある契約形態の1つです。
2つの違いは、プロバイダとの契約形態の違いにあります。
プロバイダとは何か?
(出典:NTT東日本*一部改変)
光コラボをご説明する前に、そのポイントになる、接続業者「プロバイダ」について解説します。
光回線に限らず、インターネットを利用するためには、「回線」と「プロバイダ」の両方が必要です。
回線には光回線の他に、無線を利用する手段がありますが、この回線では利用者からプロバイダまでを繋いでいます。
プロバイダからインターネットの世界へは、バックボーンと呼ばれる回線を通じて、データが置いてあるサーバーやコンピュータに接続して、情報をプロバイダまで持ち帰ります。
このように、プロバイダはインターネットの世界で道先案内人を務めますが、ピアリングと言うアクセス能力が各プロバイダで異なっており、バックボーンの品質と合わせて通信品質に大きな影響を与えます。
プロバイダまで来たデータは、契約している回線を通じてユーザーへ届けられます。
通信速度などを含めた回線品質は、プロバイダの影響も大きいため、同じ回線を使ってもプロバイダが異なれば回線品質も違ってきます。
光コラボはフレッツ光の契約形態の1つ
フレッツ光の2種類ある契約形態は、プロバイダの契約方法の違いです。
フレッツ光を回線契約+プロバイダ契約
(出典:NTT西日本*一部改変)
フレッツ光がサービスを開始した当初からある契約形態で、光回線をNTTと契約して、別途プロバイダ契約をする利用形態です。
この形態は現在ではビジネス利用の法人契約が主流で、個人契約での利用にメリットがありません。
光コラボ
(出典:NTT西日本*一部改変)
2015年2月から始まった「光コラボ」は、NTT東西から光回線(フレッツ光)の卸供給を受けるプロバイダがワンストップでユーザーと契約します。
1つの契約で済む利便性と、月額料金が2箇所で契約するより安くなるため、フレッツ光の個人利用の形態として主流になっています。
光コラボを選ぶということは、フレッツ光回線でプロバイダを選択するのと同義語になります。
「光コラボ」を扱う事業者は、NTT東日本エリアで530社・NTT西日本エリアで235社が有ります。
数多いと感じる光回線サービスの多くは、このフレッツ光を使う「光コラボ」だと言うことです。
「GMO光アクセス」も「OCN光」も、光コラボのサービスです。
「GMO光アクセス」と「OCN光」の料金やサービスを比較
2つのサービスの、具体的な料金やサービスを比較してみましょう。
初期費用
登録費用
回線の初期登録費用として、どちらも3,300円が必要になります。
工事費
「GMO光アクセス」では、戸建て26,400円・マンション集合住宅25,300円の、基本工事費用が掛かります。
36回の分割払いが可能で、戸建ての場合1回目1,045円 2回目以降726円・マンション集合住宅の場合1回目1,045円2回目以降693円ですが、契約期間中は同額が割引されるため、3年間利用することにより工事費は実質無料になります。
3年以内に解約した場合は、工事費の残債を一括で支払う必要が有ります。
たとえば1年で解約した場合、戸建てでは726円×24回分=17,424円の工事費支払いが発生します。
「OCN光」では、戸建て19,800円・マンション集合住宅16,500円の、基本工事費用が掛かります。
20回の分割払が可能で、戸建ての場合月額990円・マンション集合住宅の場合825円です。
月額料金
「GMO光アクセス」の月額料金は、戸建て4,818円・マンション集合住宅3,773円です。
「OCN光」の月額料金は、戸建て5,650円・マンション集合住宅3,960円です。
どちらも光コラボの中で、最安値級の月額料金になっています。
キャッシュバックキャンペーン
「GMO光アクセス」では、現在新規契約者に5,000円の、キャッシュバックキャンペーンを行っています。
現在、「OCN光」では公式キャンペーンは行っていませんが、オンライン専門代理店で契約することにより、37,000円のキャッシュバックが受け取れます。
IPv6 IpoE対応
(出典:NTTPC公式サイト)
現在も広く使われている通信方式のPPPoEよりも、プロバイダが新しい通信規格IPoEに対応していれば、理論上10倍も快適にインターネットが利用出来ます。
「GMO光アクセス」も「OCN光」も、この新しい通信規格IPv6 IpoEに対応しているため、快適で高速なインターネットが利用出来ます。
解約違約金
「GMO光アクセス」では、解約によって違約金が発生しません。
「OCN光」では、解約違約金として3,600円が発生します。
ただし、24ヵ月ごとに訪れる解約月の2ヵ月間に解約すれば、解約違約金は発生しません。
スマホセット割
「GMO光アクセス」では、スマホセット割はありません。
「OCN光」では、格安SIMの「OCNモバイルONE」を組みあわせて利用する事により、「セット割」で毎月スマホ料金が家族全員割引されます。
光回線を導入すれば、利用するスマホプランと、このセット割が通信費のトータル費用に大きな影響を与えるので、詳しく説明します。
光回線を導入したらスマホプランの見直しが必要
総務省が令和4年4月に発表した、令和3年度市場検証(中間報告)【電気通信事業分野における市場動向の分析】によれば、スマホプランの契約先として、ドコモのシェアは36.6%・auは27.1%・ソフトバンクは20.9%の多勢を締めていて、合計では84.6%の方が3大キャリアを利用しています。
携帯電話ショップを訪れれば、特にこちらから要望を出さない限り、無制限・大容量のメインプランを勧められます。
自宅に光回線を使って、Wi-Fiでインターネットを利用出来る環境が出来れば、これらのプランは多くのユーザーに必要無く、毎月割引前の価格でスマホ1台につき概ね7,000円強、家族割引等の割引制度をフルに使っても5,000円強の支払は、多くの場合コスパの悪い利用方法になります。
自宅にWi-Fi環境が出来れば3GB程度の容量でOK
スマートフォンのインターネット利用で、大きなデータ容量を消費するのは、動画視聴などが代表的な使い方です。
腰を落ち着けてスマホを使うのは、自宅が圧倒的に多くなっています。
(出典:ソフトバンク)
ソフトバンクの調査全国1,200人に聞く、スマホの通信利用に関する実態調査では、インターネットの利用場所として、自宅が94.6%と圧倒的です。
しかし、自宅に光回線を導入すれば、Wi-Fiを使ってインターネットを行う為、通信会社のプランからギガを消費する事はありません。
そのため通信会社の契約プランは、外出時の利用時のみ消費するギガを賄えれば良いことになります。
実際にどれくらいのデータ量が、通信会社プランのギガを消費されているか?データを見てみましょう。
(出典:MM総研)
このグラフは、MM総研が2022年8月25日に発表している、「携帯電話の月額利用料金とサービス利用実態(2022年7月時点)」から引用しています。
多くのユーザーは1GB未満のギガ消費に留まっていて、3GB未満に多くのユーザーが入る事が解ります。
個々の利用方法の差は有っても、多くのスマホユーザーは3GB程度の小容量プランで問題ありません。
もちろん、この容量は外出時だけの容量で、自宅で動画視聴などを存分に行っても、光回線をWi-Fi利用する限り、契約プランのギガは全く消費しません。
小容量プランなら格安SIMがお得
このような事を考慮すれば、メインプランの無制限・大容量プランユーザーは、各3大キャリアで用意されている、従量制の小容量プランに変更する方が合理的です。
しかし、この容量帯のキャリア月額料金はコスパが悪く、積極的にオススメ出来ません
たとえば、ドコモの小容量の従量制プラン「ギガライトプラン」では、以下の様になっています。
・ステップ1 ~1GB 月額3,465円
・ステップ2 ~3GB 月額4,565円
・ステップ3 ~5GB 月額5,665円
・ステップ4 ~7GB 月額6,765円
これに対して、格安SIMの「OCNモバイルONE」では
・500MB/月コース 550円
・1GB/月コース 770円
・3GB/月コース 990円
・6GB/月コース 1,200円
・10GB/月コース 1,600円
になっています。
前述のグラフから考えて、月に3GB未満程度を利用した場合、ドコモでは4,565円ですが、OCNモバイルONEでは990円と、大きな差が付きます。
家族の人数が多いほど、その差は広がります。
自宅に光回線を導入したら、光回線+格安SIMで運用する事により、通信費のトータル費用は大幅に下がり、コスパ良く利用出来ます。
OCNモバイルONEのセット割
(出典:OCNモバイルONE公式)
「GMO光アクセス」ではスマホのセット割はありませんが、「OCN光」では「OCNモバイルONE」のセット割が適用されて、安価な月額料金が毎月更に安く利用出来ます。
スマホ1台につき月額220円の「セット割」が、最大家族5人まで適用されます。
通信容量/コース名 | 月額料金 | セット割 | 実質金額 |
500MB/月コース | 550円 | - | 550円 |
1GB/月コース | 770円 | 220円 | 550円 |
3GB/月コース | 990円 | 220円 | 770円 |
6GB/月コース | 1,320円 | 220円 | 1,100円 |
10GB/月コース | 1,760円 | 220円 | 1,540円 |
マンション住まいの家族5人で、格安SIMの3GBプランを契約した場合の、1ヵ月に掛かる費用のシミュレーションをしてみましょう。
GMO光アクセス
光回線(GMO光アクセス)3,773円+格安SIM(OCNモバイルONE3GB)990円×5人=8,723円
この金額で家族5人分の通信費のトータル費用が賄えるのは、コスパが良いですよね。
3大キャリアの無制限・大容量プランを利用しているなら、1人分の月額料金に少々加えるだけで、家族みんなで高速無制限の光回線が楽しめます。
OCN光
光回線(OCN光)3,960円+格安SIM(OCNモバイルONE3GB)770円×5人=7,810円
セット割が適用されるため更に安くなり、コスパの良さが際立ちます。
結論:「OCN光」は実質料金がお得!
(出典:OCN光申込サイト)
スマホ代まで入れた、コスパの良い月額の通信費のトータル費用では「OCN光」の圧勝ですが、単純に月額料金は「GMO光アクセス」の方が安く、3年間利用すれば工事費が0円になるメリットもあります。
ここまで見てきた、料金やサービス内容をあらためて一覧にして、家族5人で利用した場合の通信費のトータル費用を、3年間比較してみましょう。
GMO光アクセス | OCN光 | |||
マンションタイプ | 戸建てタイプ | マンションタイプ | 戸建てタイプ | |
初期費用 | 3,300円 | 3,300円 | 3,300円 | 3,300円 |
月額料金 | 3,773円 | 4,818円 | 3,960円 | 5,650円 |
工事費 | 0円 | 0円 | 16,500円 | 19,800円 |
キャッシュバック | 5,000円 | 5,000円 | 37,000円 | 37,000円 |
IPv6 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
解約違約金 | 0円 | 0円 | 3,600円 | 3,600円 |
スマホセット割 | × | × | 〇 | 〇 |
1年間通信費ALL | 116,176円 | 131,356円 | 76,520円 | 100,100円 |
2年間通信費ALL | 217,552円 | 244,612円 | 170,240円 | 214,100円 |
3年間通信費ALL | 318,928円 | 357,868円 | 263,960円 | 328,100円 |
工事費からキャッシュバック、スマホ割まで考慮して計算すれば、1年目から3年目まで、マンション集合住宅・戸建てタイプを問わず、通信費のトータル費用は全てOCN光の方が安くなります。
光回線を導入するなら、「OCN光」+「OCNモバイルONE」にセット割を適用させる事をオススメします。