光回線を自宅に導入する理由は、高速なインターネット環境を無制限に快適に利用ができる事に尽きます。
しかし、光回線を利用していても、動画を視聴しているとカクついて止まったり、zoomなどのネットミーティング利用時に固まったり、オンラインゲームで反応の遅さにイラついたりしている方は少なくありません。
これらは、本来の光回線の持つ十分な回線速度が利用できずに、通信速度が遅い状態で利用している場合に発生します。
現在一般的に利用されている光回線の通信速度の公称値は1Gbps(1,000Mbps)で、これはあくまで計算上の数値なので実際に利用できているのは概ね250Mbps前後になりますが、この通信速度なら一般的な利用では問題は基本的に起きません。
家族での動画視聴はもちろん、高解像度のゲーム利用でも50Mbps程度の通信速度が出ていれば問題は無く、極めて通信速度が必要になるメタバースの利用でも、100Mbps程度の通信速度があれば快適に利用が可能です。
マンション集合住宅にお住まいの光回線をご利用中で通信速度が遅い場合は、光回線本来のポテンシャルが享受できていない可能性が高いと言えます。
マンション集合住宅で、光回線の通信速度が遅い場合の原因と対策を解説していきます。
建物の内部配線方式によって通信速度は大きく変わる
(出典:NTT東日本公式ページ*一部省略しています)
マンション集合住宅での光回線利用は、建物の近くまで来ている光回線ケーブルを各戸で地表から個々に導入している例外的なケースもありますが、一般的には建物の共有スペース内まで引き込み工事が完了している光回線を、内部の配線によって各戸に接続しています。
建物内の配線方式は建物によって異なり、配線方式はインターネットの回線速度に大きな影響を与えています。
マンション集合住宅で光回線の通信速度が遅い場合は、この配線方式が原因になっているケースがあります。
配線方式は3通りありますので、それぞれご紹介します。
「光」配線方式
「光」配線方式の建物はMDF内のスプリッタで振り分けられ、そのまま各戸まで光ファイバーケーブルで繋がれている、比較的新しいマンション集合住宅で採用されている配線方式です。
この配線方式では主に壁に「光コンセント」が設置されていて、回線終端装置(ONU)という黒い端末に光ケーブルが繋がれています。
光配線方式の場合は、現在主流になっている1Gpbsの回線速度のポテンシャルが、理論上はそのまま享受ができるため、この方式で通信速度が遅い場合は、後述する別の要因が絡んでいる可能性が高いと言えます。
逆に言えば、遅い通信速度の悩みが対処方法によって解消されると言えます。
「VDSL」方式
比較的古い建物や、設計上で光ファイバーケーブルを建物内部に通す事ができない場合、多くの建物で設置済みになっている、銅線の電話線を利用して、各戸に配信する場合の方式が「VDSL」方式と呼ばれている配線方式です。
建物の共有スペース内までは1Gbpsの光回線が入っても、各戸へはVDSL集合装置を介してモジュラージャックで届けられるため、利用できる通信速度は理論上で1/10程度の100Mbpsになり、現実的には数十Mbps程度の通信速度しか利用する事ができません。
この方式の場合、各戸内で通信速度を上げる策を講じても、残念ながら劇的な改善は望めないと言えます。
インターネット環境の根本的改善方法としては、後述する無線利用をオススメします。
「LAN」配線方式
家具や光熱費まで込みのマンション集合住宅や、マンスリーマンションなどでよく見られるのが「LAN」配線方式です。
一般的なマンション集合住宅でも、導入されているケースがあります。
建物の共有スペース内までは1Gbpsの光回線が入りますが、そこにある集合型回線終端装置から各戸へは、LANケーブルで送られるため、部屋の壁にLANポートが設置されています。
比較的新しい建物では、LANポートにWi-Fi機能が内蔵されているケースもあります。
この方式は建物全体で一本の回線を共有しているスタイルになり、建物の戸数や同時に利用するユーザーの数や利用内容によって、通信速度は大きく変わります。
帰宅後の夜や休日には利用者が多くなり、必然的に通信速度は低下します。
配線しているLANケーブルの能力にも左右されますが、LAN配線方式のフレッツ光の契約は100Mbpsが上限になっていることを考えれば、理論上が100Mなら実際に利用できる通信速度は数十Mbps程度の通信速度にしかならないと言えます。
この方式の場合も、各戸内で通信速度を上げる策を講じても、残念ながら劇的な改善は望めないと言えます。
インターネット環境の根本的改善方法としては、無線を使ったインターネット利用をオススメします。
「VDSL」「LAN」配線方式で通信速度が遅い場合の対策方法
お住まいの建物が「VDSL」方式・「LAN」配線方式の場合は、無線回線を使ったインターネット利用の方が、通信速度を快適に利用ができる可能性があります。
無線を使ったインターネット利用なら、お住まいの建物の配線方式に一切関わりません。
ホームルーターを利用する
無線を利用したインターネット回線としては、「モバイルルーター」と「ホームルーター」があります。
光回線から乗り換えて利用する無線回線としては、ホームルーターがオススメです。
工事不要でコンセントに挿せばWi-Fiが利用できる
ホームルーターなら工事不要で簡単に導入ができて、コンセントに挿すだけでWi-Fi使える環境が構築する事ができます。
実際に利用ができる通信速度は光回線には及びませんが、建物の配線方式がボトルネックになっている住居では、光回線を利用した場合よりも快適にインターネットが使える可能性が高いと言えます。
光回線でWi-Fiルーターの使用に近い利用環境になる
同様に無線を使うモバイルルーターは、持ち運べる利便性がありますが、筐体サイズが小さいためアンテナ関連も小さくなり、おしなべて通信速度はホームルーターと比較して遅くなる傾向にあります。
当然ですがアンテナの小さいモバイルルーターは、Wi-Fiが飛ぶ範囲も狭くなり、複数の部屋を跨いで利用するのは難しくなります。
ホームルーターはWi-Fiルーターの機能が内蔵されているため、光回線でWi-Fiルーターを利用している環境に近くなり、家族で利用する事が可能であり、Wi-Fiだけでなく有線LANケーブルでの機器接続も可能になっています。
ホームルーターは、通信キャリア4社(ドコモ・KDDI・ソフトバンク・楽天モバイル)から、それぞれサービスが提供されています。
オススメのホームルーターは「ソフトバンクエアー」
(出典:ソフトバンクエアー申込サイト)
4種類あるホームルーターの中で、ソフトバンクエアーをオススメするのは「コスパの良さ」です。
機種代やキャッシュバックまで考慮して、2年間の実質費用で比較すれば明らかです。
通信キャリア4社のサービスを2年間の実質費用で比較
提供企業 | ドコモ | KDDI | ソフトバンク | 楽天モバイル |
サービス名 | ドコモ home 5G | HOME 5G L13 | ソフトバンクエアー | 楽天モバイル Rakuten Turbo |
基本月額 1年目 | 4,950円 | 5,038円 | 3,278円 | 3,712円 |
基本月額 2年目 | 4,950円 | 5,720円 | 5,368円 | 6,572円 |
機種代実質 | 0円 | 27,720円 | 0円 | 41,568円 |
2年間合計金額 | 118,800円 | 129,096円 | 103,752円 | 123,408円 |
キャッシュバック | 18,000円 | 17,820円 | 33,000円 | 0円 |
2年間実質合計 | 100,800円 | 111,276円 | 70,752円 | 123,408円 |
実質月額料金 | 4,200円 | 4,637円 | 2,948円 | 5,142円 |
2年間の実質費用を計算すれば、ソフトバンクエアーのみ月額3,000円以下になっていて、圧倒的なコスパで快適なホームルーターを利用する事ができます。
ソフトバンクエアーは公式HPやソフトバンク店舗でも受け付けていますが、独自のキャッシュバックキャンペーンを行っているオンライン専門代理店の方がお得です。
上記の計算も、オンライン専門代理店で申し込んだ場合の計算をしています。
ソフトバンクエアーの利用で通信費を更に下げる方法
(出典:ワイモバイル公式)
安価に利用ができるソフトバンクエアーを利用して、更に通信費トータル費用を下げるなら、現在利用しているスマホプランを、ソフトバンクのサブブランである「ワイモバイル」への乗り換えがオススメです。
自宅でのインターネット利用は、スマホも含めてソフトバンクエアーをWi-Fiで利用するため、スマホプランで契約しているギガの消費をしません。
スマホプランは外出時のWi-Fiが利用できない場所でのみギガを消費するので、多くのスマホユーザーは月に3GB程度のプランで賄えるようなります。
ソフトバンクエアーのユーザーと家族には、ソフトバンクのスマホプランで毎月のスマホ代が割引きされる「セット割」が適用されますが、3GB程度の小容量プランなら、ソフトバンクのサブブランドであるワイモバイルの方がお得で、セット割も適用されます。
ワイモバイルの月額料金と、セット割を適用した月額料金を見てみましょう。
シンプル2 | |||
プラン名 | S | M | L |
容量 | 4GB | 20GB | 30GB |
基本月額料金 | 2,365円 | 4,015円 | 5,115円 |
セット割 | 1,100円 | 1,650円 | 1,650円 |
割引き後 | 1,265円 | 2,365円 | 3,465円 |
プランの中で最適なのは「S」で、3GBよりも余裕がある月に4GBのデータ量が、月額1,265円で利用する事ができます。
小容量プランでは、ソフトバンクのメインプランに割引制度を駆使しても、ワイモバイルにセット割を適用割いた方が安くなります。
「光」配線方式で通信速度が遅い場合の対策方法
光配線方式の建物では、光回線の高速なポテンシャルをそのまま享受ができるので、もし通信スピードを計測しても数Mbps程度しか出ていない場合は、何らかの利用時の環境等に問題があると考えられ、それらに対応することで通信速度は大きく改善する余地があります。
原因はいくつか考えられますが、一つだけではなく複数が絡んでいる可能性もあります。
具体的に見ていきましょう。
使用しているWi-Fiルーターが古い
Wi-Fiルーターは比較的耐用年数が長く、壊れていないという判断で、長期間継続利用しているユーザーが少なからず存在しています。
しかし、古い規格のWi-Fiルーターは発売当時には最先端でも、現在の利用環境には既に大きく時代遅れになっているケースがあります。
1Gbps(1,000Mbps)の公称値で部屋にインターネット回線が入っても、古いWi-Fiルーターのため処理できる最大の通信速度が100Mbpsになっていれば、そこがボトルネックになり、利用できる通信速度は大きく低下します。
Wi-Fiの規格も時代と共に大きく進化しています。
新しい順番に見ていきましょう。
規格名 | 新名称 | 周波数帯 | 最大通信速度 | 電波干渉 | 障害物 |
IEEE802.11ax | Wi-Fi 6 | 2.4GHz | 9.6Gbps | 弱い | 強い |
5GHz | 9.6Gbps | 強い | 弱い | ||
IEEE802.11ac | Wi-Fi 5 | 5GHz | 6.9Gbps | 強い | 弱い |
IEEE802.11n | Wi-Fi 4 | 2.4GHz | 600Mbps | 弱い | 強い |
5GHz | 600Mbps | 強い | 弱い | ||
IEEE802.11g | 2.4GHz | 54Mbps | 弱い | 強い | |
IEEE802.11b | 2.4GHz | 11Mbps | 弱い | 強い | |
IEEE802.11a | 5GHz | 54Mbps | 強い | 弱い |
一覧よりも更に新しいWi-Fi6Eも登場していますが、対応している機種も少ないため今回は割愛しています。
利用しているスマホや端末パソコンなどが、それほど古いものでなければ、多くはWi-Fi4以上の規格に対応していて、その規格のWi-Fiルーターを用いれば、十分に高速なインターネットの通信環境を利用する事ができます。
たとえば、利用しているWi-Fiルーターが、IEEE802.11bしか利用できない時代のものだった場合、1Gbpsの光回線を利用していても、最大で11Mbpsの速度しか出す事が出来ません。
この数値は理論値のため、実際に利用した時の通信速度は数Mbps程度になってしまいます。
古いWi-Fiルーターから新しい規格のWi-Fiルーターに交換する事で、通信速度の環境は大きく改善されます。
これは、購入しているWi-Fiルーターだけでなく、光回線サービスでレンタルしている場合も同様です。
一例としてソフトバンク光では、「光BBユニット」と「WiFiマルチパック」をレンタル契約しているユーザーが多くなっていますが、毎月レンタルオプション料金を払い続けても、時代に大きく取り残されたWi-Fiルーターの交換を、ソフトバンク側から持ちかけられる事は基本的に無く、ユーザーが申し出ない限り古い規格を利用し続ける事になります。
その場合には交換を申し出れば、レンタルオプション料金は同じで最新の規格を利用できるようになります。
Wi-Fiの接続が2.4GHzになっている
比較的新しいルーターを使っている場合でも、Wi-Fiの接続先を敢えて通信速度の遅い方に接続している場合があります。
新しいスマホなどの端末を入手した時の最初の設定で、接続するWi-Fiの候補が複数登場している中で、2.4GHz(×××-2.4や×××gになっているケースが多いです)だけを選択してしまった場合、十分な通信速度を出すことができません。
5GHz(×××-5や×××-aになっているケースが多いです)にWi-Fiの接続先を変更する事で、通信速度は大きく改善します。
古い規格のLANケーブルを使用している
ONU(終端装置と呼ばれる黒い筐体です)からWi-Fiルーターに接続しているのはLANケーブルと呼ばれるものですが、一見すると全く同じに見えるLANケーブルも時代で規格が異なり、許容できる通信速度が大きく異なっています。
規格の古い順に、LANケーブルの規格と通信速度を見てみましょう。
・カテゴリ5(CAT5) 100Mbps
・カテゴリ5e(CAT5e) 1Gbps
・カテゴリ6(CAT6) 1Gbps
・カテゴリ6A(CAT6A) 10Gbps
・カテゴリ7(CAT7) 10Gbps
・カテゴリ8(CAT8) 40Gbps
カテゴリ6(CAT6)ケーブルが現状ではコスパが良く、通信速度も問題無く利用ができます。
もちろん、それ以上の新しい規格のケーブルを利用すれば、今後も長期的に対応できるという事です。
有線接続しているパソコンやゲーム機も同様で、古い規格のLANケーブルがボトルネックになっている場合、新しい規格のLANケーブルに交換するだけで、大きく通信速度が改善するケースが少なくありません。
使用する端末が古い
どんなに通信速度の環境を整えても、それを利用するパソコンやタブレット、スマホなどの処理能力が劣っていれば、高速な通信環境を利用する事はできません。
ここまで見てきた改善点に問題が無く、利用する端末によって通信速度が大きく劣るのは、処理能力が時代に追いついていない古いものであるケースが多くなっています。
利用する端末を新しいものにする事で、通信速度は劇的に改善する場合も多いです。
光回線の契約が遅い通信速度になっている
建物内の配線は1Gbpsの公称値なのに、光回線サービスの契約自体が遅いものになっているケースがあります。
マンション集合住宅の契約では、100Mbpsの契約になっている事もあるので、ご自身の契約内容を一度見直す事をオススメします。
最大通信速度1Gbpsの契約に変更しても、現在の月額料金は基本的に変わらないか大きく変わりません。
利用しているプロバイダの問題
(出典:NTT西日本*一部改変)
マンション集合住宅で光回線を利用している場合は、建物の共有スペース内まで引き込み工事が完了している光回線しか原則として利用ができず、NTT東西の光回線「フレッツ光」が導入されているケースが多く、個人契約ではフレッツ光とプロバイダをワンセットにした「光コラボ」の利用者が多くなっています。
光コラボは、NTT東日本エリアで530社・NTT西日本エリアで235社から提供されていますが、利用する光回線は同じフレッツ光で、数多くある光コラボの違いは接続業者プロバイダの違いだけです。
プロバイダには能力差があり、公称値は同じ1Gbpsの光コラボでも、利用ができる通信速度は変わってきます。
実際の利用者が通信速度を計測しているサイト「みんなのネット回線速度」で、直近3ヵ月の1Gbpsが公称値のフレッツ光の通信速度の平均値は、平均ダウンロード速度: 253.86Mbps・平均アップロード速度: 244.41Mbpsになっています。
言い方を変えれば、この平均の数値なら家族で利用しても全く問題の無い通信速度だと言えますが、たとえばInfoSphere(NTTPCコミュニケーションズ)の直近3ヵ月の平均ダウンロード速度は、平均値に大きく劣る151.43Mbpsになっています。
みんなのネット回線速度では数値的な偏りを防ぐために、一定数のユーザーによる計測が行われていない場合は掲載がされず、平均値データの掲載は20数社に留まっていますが、膨大な光コラボの中には、更に劣る通信速度しか提供できていないケースが存在している可能性があります。
光コラボから別の光コラボへの乗り換えは簡単に行える
(出典:NTT東日本公式)
接続業者プロバイダがボトルネックになっている場合、光コラボなら別の光コラボに簡単な手続き「事業者変更」だけで乗り換える事が可能になっています。
光コラボ同士なら同じ光回線のフレッツ光を使っているので、新たな工事も発生することなく、インターネットが利用できない期間も生じません。
現在利用中の光コラボに連絡して「事業者変更承諾番号」の収得を行い、新しい乗り換えたい光コラボに申し込みを行う時に、新規契約ではなく事業者変更で収得している事業者変更承諾番号を伝えます。
新しい光コラボへの切り替えは1週間から10日程度の時間を要しますが、それまでは従来利用中の光コラボでインターネットの利用ができます。