戸建てタイプの個人契約で、かつ全国的に展開しているサービスで一番速い光回線は現状、最大10Gbpsの速度でサービス展開をしている光回線です。
このサービスは比較的最近登場したもので、圧倒的な回線速度のスピードが特徴となっています。
では戸建てで新たにインターネット接続の契約をする場合、あるいは戸建てで既存の契約を乗り換える場合、一番速度の速い回線を選択するのがベストなのでしょうか?
光回線の速度とはどういう意味があるのか
インターネット接続する際に「光回線」を契約するのは一般的によく知られている事ですが、この光回線というものは一体どのようなものなのでしょうか。
光回線とは固定電話と同じようにケーブルを自宅やマンションに引き込み、引き込んだ回線からインターネットに接続するものです。このケーブルが光ファイバーケーブルと呼ばれる種類のもののため、光回線と呼ばれています。
光回線はそれ以前に使われていた銅線を使った接続よりも高速でインターネット接続ができたため、速いスピードで利用できる回線として今もなお速度の速さが特徴となっています。
回線が遅いとスマホの規制のような状態にも
回線の速さとは、インターネットとデータをやり取りするスピードのことです。これが早ければ短時間にたくさんのデータをやり取りできますし、遅くなると同じデータの量をやり取りするのに時間がかかるようになってしまいます。
イメージとしては、スマホのギガを使い切った後、制限がかかりなかなかページが開かなかったり、動画が見られなくなったりするのが回線のスピードの影響です。
インターネットのデータというのは、「文字」「画像」「音声」「動画」などで、この中では文字が一番データ量が少なく、動画が一番多いということになります。
ですから回線速度が遅いと文字だけは表示されるが画像はなかなか表示されなくなってしまったり、動画配信サイトの動画が再生できなくなってしまうのです。
YouTubeをしっかり見るのにも速度が必要
最近ではインターネットの利用目的の多くがYouTubeではないでしょうか。回線速度がどのくらい必要かの参考にまず、YouTubeを快適に視聴するためにどの程度の速度が必要なのかを見てみましょう。以下の数値がYouTube公式が推奨しているものとなります。
動画の解像度 | 推奨される持続的な速度 |
4K | 20 Mbps |
HD 1080p | 5 Mbps |
HD 720p | 2.5 Mbps |
SD 480p | 1.1 Mbps |
SD 360p | 0.7 Mbps |
参考サイト
動画の解像度は「4K」が最も高画となり、SDが一番粗い画質となります。これを見てわかるように高画質動画を再生するためには速度の速い回線が必要になり、この速度が遅い場合は画質の悪い動画しか再生できなくなってしまいます。
ちなみにYouTubeなどの多くの動画サイトでは、回線速度によって自動的に解像度が調整されるため、全く再生できないということは少なくなっていますが、遅い回線を使っていると高画質の動画は観られなくなります。
もちろん動画だけではなく、ブラウザでページを見る際にも画像などが読み込めず「読み込み中」というアイコンなどがぐるぐる回っているのを見たことがあると思いますが、これも回線速度が遅いということです。
戸建てで利用する高速光回線の特徴とは
新築の戸建てに引っ越したり、あるいは既に戸建てで使っているインターネット回線を新しくしたいという際に、戸建てならではの特徴にはどのようなものがあるのでしょう。
戸建てで利用できる一番速い高速回線のスピードは10Gbps
現在では高速の光回線は10Gbpsという速度を出すサービスが登場しています。従来の光回線のスピードが最高で1Gbpsだったのと比較して約10倍のスピードとなり、従来にない圧倒的なスピードです。
現状でインターネット接続が一番速い回線というのが、この最大10Gbps(最大20Gbpsを提供してるサービスもあります)の速度をうたっているサービスとなっています。
もちろんこの10Gbpsの高速回線を戸建てで利用することも可能ですが、まだ10Gbpsのサービス自体が利用できるエリアが限られており、事前に確認が必要となります。
一方、既存の最大1Gbpsまでの光回線はほぼ全国で利用可能となっています。
戸建てで光回線が使えるか?
当然ですが戸建てでも高速の光回線は利用できます。戸建ての場合でもほとんどの光回線サービスが利用できますが、新築などでまだインターネット回線が自宅内に引き込まれていない場合、回線の引き込み工事が必要となります。
逆に自分で引き込みする回線が選択できますから、サービスエリアに該当してれば自分が選んだサービスが利用できるというのが、戸建ての場合のメリットと言えるでしょう。
マンションの場合、インターネット接続の引き込み工事などのマンション全体に関わることは、自分一人だけで決定できないため、既に引かれている回線の業者しか使えないという可能性もあります。
この回線引き込みの工事には工事費が発生しますので、すでに回線が引き込まれている場合と比べ、初期費用が高くなる可能性もあります。
ただし、この初期工事の費用が無料になるキャンペーンを実施していることも多く、事前にキャンペーンの有無をしっかりチェックしておきましょう。
回線速度で表記されている数値は実効速度ではない
10Gbpsという従来の10倍の速度を誇る通信速度を実現した新しいタイプの光回線サービスですが、この10Gbpsという表記は実際にその通りに利用できるのでしょうか。
結論から言えば各社のサービスの紹介ページを見ればわかるように、10Gbpsでの接続を常に保証するサービスではありません。原則的に実際に使えるスピードというのは、10Gbpsと書かれていてもそれ以下で、場合によっては数分の1程度の速度しか出ていないこともあります。
これは10Gbpsのサービスだけに限らず、1Gbpsを含めてほぼ全てのインターネット接続に関して言えることです。
この回線が遅くなる現象は、一度にたくさんの利用者が回線を利用しているときに起きやすく、深夜0時前後にインターネットが遅くなるという経験をしたことがある方も多いはずです。光回線サービスも利用者の多い割に回線が「細い」場合は、速度低下が起きやすくなります。
このような回線の実質的な速度は、口コミサイトなどでもチェックできますので参考にしてみても良いでしょう。
戸建てで使える今一番速い光回線の種類
では実際に戸建てで、高速のインターネット光回線を契約したいと思った場合、どのようなサービスがあるのでしょうか。その概要を簡単に確認してみましょう。
フレッツ光クロス 最大10Gbps エリア限定
フレッツ光クロスは2020年にサービスをスタートした、最大10Gbpsのインターネット接続サービスです。フレッツ史上最速の通信速度が特徴ですが、現状対応エリアが限定されています。
auひかり 最大10Gbps エリア限定
auひかり ホームというauのインターネット回線ですが、これには1ギガ、5ギガ、10ギガといった種類があり、10ギガは通常の料金にプラス料金を支払えば利用できます。対応エリアは公式サイトから確認が可能ですが、最大10Gbps対応の確認は問い合わせからの返信を待たなければならないようです。
NURO光 最大10Gbps エリア限定
NURO光はソニーが提供するいち早く最大10Gbposの高速インターネット回線を提供し始め、現在ではその倍の20Gbpsのサービスもラインナップしています。自分の居住地が対応しているかをNURO光公式サイトで簡単に確認可能です。
フレッツ光クロス対応の光コラボ(ドコモ光10Gbps、ソフトバンク光 10Gbpsなど)
NTT以外の業者がNTTの光10Gbpsを使って提供するのが、フレッツ光クロス対応光コラボの最大10Gbpsです。光回線自体はNTTのものですから、スペック的にはほぼ同等。業者によってはお得なキャンペーンを実施している場合もあるので、各サービスをチェックするのが正解です。
割高な10Gbpsが本当に必要かをよく検討する
ここまで説明してきたことからわかるように、戸建てでも高速な光回線を契約することは可能なのですが、一方で高速な回線ならではのデメリットもあります。
長期間使用するインターネット回線契約ですから、デメリットとなる情報を事前に知って間違った契約をしないように気をつけましょう。
10Gbpsが使えない地域もたくさんある
まず気をつけなければならないのが、10Gbpsのインターネット回線はまだ接続できるエリアが限られているため、自分の住まいが該当エリアに含まれていなければ契約できません。
もちろん事前にエリアはチェックできますから、住所や郵便番号などでエリアを確認してみましょう。エリア限定で使いたくても使えないことがあるというのが、10Gbpsの高速光回線のデメリットの一つと言えるでしょう。
10Gbpsが必要なコンテンツは限られている
冒頭にYouTubeの推奨速度の一覧を紹介しましたが、これをみてもわかるように最大画質の4Kであっても、必要な回線速度は「20Mbps」です。つまり10Gbpsとは「M」と「G」で桁が全く違い、10Gbpsの「1/50」のスピードが出ていれば、全く問題なく最高画質の動画が楽しめるという計算となります。
もちろん10Gbpsの回線でも常時最高スピードが使えるわけではありませんが、1Gbpsであったとしても、4K動画の再生には十分以上のスピードと言えます。
一般の人にとってインターネット回線の速度が求められるコンテンツは動画再生がメインですから、そうなると10Gbpsというのはある意味オーバースペックで過剰であるというケースがほとんどなのです。
サーバーや機器が対応していなければ無意味
さらに10Gbpsというスピードは従来のインターネット接続と比べて爆速とも言えるスピードとなるため、コンテンツが保存されているインターネット上のサーバーなどがそのスピードにまだ対応できていなこともあります。
そうなると通信速度以上に、サーバーやあるいは宅内配線の通信性能など、通信に関連する各種機器などの速度が遅くて、結局10Gbpsの通信速度を活かしきれないというケースもあり得ます。これではせっかくの高速回線も、宝の持ち腐れになってしまいます。
使いきれないのに高額な料金を支払うのは無意味の場合も
このように10Gbpsの高速インターネット接続は従来にないスピードを実現しているものの、まだそのほかの環境や、インターネット自体の利用方法がそれに追いついていないというのが現状です。
超高速であるということは、ネットが混雑している際でもそれなりの速度が利用できるという余裕を持てるというメリットがありますが、その一方で一般的なインターネット接続の料金よりも高額になるのが普通です。
キャンペーンなどで初年度の料金が安くなっている場合もありますから、長期間にわたって料金がいくらになるのかをきちんと計算しておくことも必要となるでしょう。
何か特別な理由で10Gbpsの速度が必要とその根拠がはっきりしている場合はともかく、なんとなく速い光回線を使いたいというイメージでしかないのであれば、10Gbpsという見た目のスペックだけにこだわると、高い買い物になってしまう可能性もあるため注意してください。