「法人」と「会社」と「企業」、どれも同じような意味合いで会話や文章の中で使われますが、その違いをご存じですか?
「法人」は民法で「自然人以外で権利能力を有するもの」、と定義されています。内容をもう少し柔らかくすれば、「人間と同じように、法的権利や義務が認められている、売ったり買ったり所有したりが可能で、責任も負う格を有する団体」ということです。
「会社」は法人の中に含まれていて、会社法に則って設立登記された法人を指します。
「企業」は営利目的で経済活動を継続的に行う組織を指し、法人だけでなく個人事業も「企業」と定義されます。
余談になりますが、「法人」の対義語は「個人」と思いがちですが、前述の民法の規定からも明らかなように、「法人」の対義語は「自然人」になります。
光回線の契約には、「個人」と「法人」が有ります。全ての光回線サービス、が法人契約に対応はしていません。個人でしか契約出来無い光回線サービスも多く存在します。法人契約を受け付ける多くの光回線サービス契約において、法人契約の「法人」とは「企業」を表し、そのため個人事業主も含まれます。
反対に、法人であっても光回線の個人契約は可能です。当然個人事業主でも可能です。
法人契約のメリットやデメリットを含め、個人契約との違いに加えて、オススメの法人契約や個人契約の光回線を解説します。
そもそも光回線とは?
光回線は本来俗称であり、正確にはFTTH(Fiber To The Home)という通信サービスです。ガラス繊維で出来ている、光ファイバーケーブルを使った通信回線で、従来の銅線と比較して、より多くのデータを、距離による毀損が無いまま、やりとりが可能な最も速い通信回線です。
光回線の敷設には莫大な資本はもちろんですが、回線を張り巡らせるのには電柱が必要になります。そのため、実際に光ファイバーケーブルの敷設は、NTT(電話線の電柱)・各地の電力会社(電線の電柱)・各地のケーブルテレビ(有線の電柱)で大半を占めています。
光回線のシェア
ICT市場専門のリサーチ会社、株式会社MM総研の2021年3月発表のデータによれば、全国的に広く普及しているのは、NTTグループ(NTT東日本+NTT西日本)の2256.4万件であり、そのシェアは半数を大きく超える7割弱に達しています。
(出典:MM総研)
グラフ中のその他は、限られたエリアでのサービス展開です。KDDI(au)もNTTグループに続くシェアですが、実際に施設した光ファイバーケーブルのエリアは限られていて、大半のエリアはNTTの光ファイバーケーブルを使用していて、「ダークファイバー」と呼ばれる、NTTで使われていない部分を利用しています。
ソニーネットワークコミュニケーションズが提供する光回線「NURO光」も、auと同様にNTT光ファイバーケーブルを利用した「ダークファイバー」を使っています。
次に、プロバイダ別のシェアを見てみましょう。
(出典:MM総研)
NTT東西がこのグラフに登場しないのは、接続業者プロバイダとしてのサービスをNTTは直接行っていないからです。プロバイダ業務は、グループ内の別企業が行っています。
図の中の「NTTコミュニケーションズ」「NTTぷらら」は、NTTのグループ企業です。上位にある「ソフトバンク」「ビッグローブ」は、NTTグループではありませんが、NTT東西が敷設した光ファイバーケーブル「フレッツ光」を利用したサービスです。
ソニーネットワークコミュニケーションズは「So-net」を展開していて、「NURO光」の分と、「フレッツ光」のプロバイダとして提供する「So-net光プラス」の合算値です。
「フレッツ光」を利用する形態は、2通り有ります。
フレッツ光の契約形態
「フレッツ光」回線を利用するのには、別途にインターネット接続業者であるプロバイダとの契約が必要です。
回線利用費はNTT東日本・西日本に支払い、接続料をプロバイダへ支払う事が一般的でした。ユーザーにとっては、「フレッツ光」+「プロバイダ」と2箇所で契約を結んで、月額料金も別々に支払う必要があり、トラブルが発生した時や、要望を伝えたくても窓口が二箇所あるのは、ユーザーにとってデメリットが大きく、ワンストップで契約支払いが出来るシステムを望む声が大きくなってきました。
出典:NTT西日本*一部改変
光回線をユーザーとの直接契約を結ぶシェアが、巨大企業NTTの独占状態になれば、競争原理が働かなくなり、普及が加速しないと考えた国の意向もあって、NTT東西は、フレッツ光回線の卸業務への移行へ、大幅な方向転換をします。
NTTは光回線の卸事業へ注力して、卸し提供を受けたプロバイダを中心とした事業者が、プロバイダ機能と回線をワンセットにしたサービスを提供する「光コラボ」が、2015年2月から開始されました。
出典:NTT西日本*一部改変
現在、個人の契約は「光コラボ」・法人の契約は「フレッツ光+プロバイダ」契約が主流になっています。「光コラボ」を扱う事業者は、現在、NTT東日本エリアで530社・NTT西日本エリアで235社が有ります。
「光コラボ」と「フレッツ光+プロバイダ」契約の違い、メリットとデメリット
何故?契約が2通りあるのか?
メリットデメリット含めて、もう少し詳細に違いを説明します。
料金の違い
「光コラボ」は、光回線「フレッツ光」と接続業者である「プロバイダ」をワンセットにしたサービスです。
そのため、同じプロバイダが提供する「光コラボ」と「フレッツ光+プロバイダ」は、契約方法が異なるだけで、使える回線品質内容は同一になります。しかし、同じ回線内容であっても、月額料金は異なってきます。
人気がある光回線の具体的な価格を比較して見ていきましょう。
@nifty光 | ビッグローブ光 | So-net光プラス | @TCOMヒカリ | ||
光コラボ | マンション 月額 | 4,378円 | 4,378円 | 4,928円 | 4,180円 |
戸建て 月額 | 5,720円 | 5,478円 | 6,138円 | 5,610円 | |
フレッツ光+プロバイダ | プロバイダ料金 | 1,100円 | 1,100円 | 1,100円 | 1,320円 |
東日本マンション月額計 | 4,455円 | 4,455円 | 4,455円 | 4,675円 | |
西日本マンション月額計 | 4,235円 | 4,235円 | 4,235円 | 4,455円 | |
東日本戸建て月額計 | 6,270円 | 6,270円 | 6,270円 | 6,490円 | |
西日本戸建て月額計 | 5,830円 | 5,830円 | 5,830円 | 6,050円 |
たとえば、「フレッツ光(光回線)+@TCOM(プロバイダ契約)」では、東日本エリアで一戸建てにお住まいの場合には、月額6,490円が支払い額合計になりますが、「@TCOMヒカリ(光コラボ契約)」では月額5,610円が支払い額になります。
この880円の金額差は、年間に10,560円の通信費節約になり、10年間では約10万円の節約になります。
個人契約をするなら、料金的に「光コラボ」がお得です。「光コラボ」では法人契約を受け付けていないサービスも多く、法人契約を行っているサービスは限られますが、法人でも代表者等の個人名で個人契約をすることが可能です。
カード決済しか支払い方法が無いサービスで、代表者個人名義のカードを使っても、会社の経費として計上することに問題は有りません。
個人事業主でも当然問題無く「光コラボ」の個人契約が可能ですが、自宅に導入するケースでは個人利用でも使う事から、確定申告時に「家事按分」が必要になる場合も有ります。詳細は、税務署・税理士にご相談ください。
キャッシュバック特典の違い
光回線の契約時には、キャッシュバックを行っているサービスが有ります。
これらの特典は、サービスを提供する企業自身が提供している事も有りますが、それに加えて代理店独自の特典が用意されているサービスも有り、契約は代理店で行う方がお得です。
独自特典の財源は回線提供企業から出ていないため、代理店が得る契約成立手数料から出ている事もあり、内容は一律ではありません。
魅力ある内容を提供するためには、経費をかけずに集客するオンライン専門の代理店が優位であり、人件費や家賃の掛かるショップ窓口や家電量販店は経費が掛かることから、公式の特典のみであるケースも多くなります。
キャッシュバックは代理店の経費負担になるため、当然費用対効果が検討されます。
投入するのは主戦場に限られることで、キャッシュバックは「光コラボ」は個人契約・「フレッツ光+プロバイダ」契約は法人契約に特化する事になります。
個人契約で「フレッツ光+プロバイダ」契約を結んでも、得られる旨みは少なくなります。
結論
法人でも個人事業主でも、単純に事業所オフィスにインターネット回線を導入したいだけなら、個人契約で「光コラボ」を利用した方がメリット大です。
それでも法人や個人事業所では、「フレッツ光+プロバイダ」契約を法人契約で結ぶケースが数多く有ります。具体的に見てみましょう。
「フレッツ光+プロバイダ」法人契約にする理由
光回線の法人契約を行っているのは、大企業だけではありません。中小企業はもちろん、個人事業主や店舗・SOHOも敢えて「フレッツ光+プロバイダ」の法人契約を選択しているのには、理由があります。
プロバイダが簡単に後で変更可能
何らかのシステムを運営している場合、新しく出てきた技術を投入したい事案が出てきても、利用しているプロバイダが対応していない場合、大きな不都合になります。
「フレッツ光+プロバイダ」契約の場合は、プロバイダだけを簡単に変更する事が可能で、一体化して契約している「光コラボ」よりも、後に対応できる柔軟性が高くなります。
経費として計上し易い
フレッツ光は法人契約の場合、請求書での支払いが可能になります。会社や事業の経費として税務計上する場合には、請求書と支払い領収書が必要になります。
光コラボやフレッツ光でも個人契約の場合には、クレジットカードでの支払いが一般的で、請求書・領収書の発行は有料となります。
24時間サポートが受けられる
フレッツ光の法人契約では、24時間サポートが受けられるオプションサービスが有ります。
個人契約の通常保守は9時から17時の日中保守ですが、法人契約の場合はオプション加入で夜間や早朝を問わず、不具合があればフレッツ光の業者が駆けつけてくれて、対応が受けられます。ビジネスを止めません。
固定IPの利用
フレッツ光の法人契約では、固定IPを利用することが可能です。
固定IPとは、インターネット上の住所が固定される事を意味します。個人契約の場合は、接続する度に動的IPアドレスが割り振られて変わります。
通常のネット閲覧をするだけなら、IPアドレスを固定するメリットは有りませんが、社外から社内のサーバーにアクセスする場合や自社サーバーでホームページの構築等、自社サーバーを運営する場合には固定IPが必要になります。
VPNの利用
VPN(Virtual Private Network)は、仮想の専用回線構築です。データが暗号化されることでセキュリティが大きく高まり、社外から社内ネットワークに安全に接続するテレワークにも必須の機能です。
同時接続機器の台数
フレッツ光の個人契約では、端末の接続台数は10台までが推奨されています。
法人契約のオプション契約(NTT東日本ではフレッツ光ネクスト プライオ1やフレッツ光ネクスト プライオ10・NTT西日本ではフレッツ光ネクスト ビジネスタイプ)を結べば、同時接続台数に制限が無くなります。
回線占有・帯域優先機能
光スプリッターを経由せずに、光ファイバーケーブルを占有する機能や、優先的にパケットを転送する機能があります。
通常の光回線利用よりも高額な費用が掛かりますが、大人数で利用する場合等に、安定した通信回線品質が担保出来ます。
具体的に法人契約出来る「フレッツ光」のサービスを見ていきましょう。
法人のフレッツ光
事業所のニーズや従業員数で、最適なサービスを選択する事が出来ます。
フレッツ光ネクスト
最も多く利用されている、定番の最大通信速度1Gbps回線サービスです。
月額料金
◇戸建て
東日本エリア 5,087.5円(*自動更新2年契約等の割引きを加味した30ヵ月目までの料金です)
西日本エリア 2年間4,521円・3年目以降4,521円(*自動更新2年契約等の割引きを加味した料金です)
◇マンション
東日本エリア 3,300〜4,400円(*自動更新2年契約等の割引きを加味した30ヵ月目までの料金です)
西日本エリア 3,135円〜4,345円(*自動更新2年契約等の割引きを加味した料金です)
*マンション内の契約数に応じて価格が変動します
*別途プロバイダ料金が必要です
解約月(利用期間満了月、その翌月および翌々月の3ヵ月間)以外で解約時には、違約金として、NTT東日本は戸建て10,450円・集合住宅1,650円、NTT西日本は戸建て11,000円・集合住宅7,700円が掛かります。
特徴
法人契約が出来ますが、サービス内容は個人向けと同様です。個人で申し込む理由は、基本的にありません。
請求書払い等の法人契約・オプション利用のメリットが有る他に、法人限定(個人事業主含む)の特典キャッシュバックが有ります。
特典キャッシュバック詳細については、以下をご覧下さい。