「フレッツ光」は、NTT東西が敷設管理している光回線です。
ドコモはNTTのグループ企業であり、言わずと知れた携帯通信企業の雄ですが、別の株式会社として存在していたドコモを、巨額のTOB(株式公開買い付け=他の株主から買い付けること)を行い、現在ではNTTの完全子会社になっています。
ドコモでは光回線サービスとして、「ドコモ光」を提供しています。
根っこは同じ会社であるにも関わらず、別の光回線サービスを行っている事を不思議に思っている方も多いと思います。
選択と集中が必要な昨今の状況において、合理的じゃ無いなぁ・・・とお考えの方もいらっしゃるでしょう。
それらの疑問を、今回は一気に解決いたします。
どちらも知名度が高い、光回線サービスの「フレッツ光」と「ドコモ光」の違いとは何か?それぞれの料金や特徴を比較しながら解説していきます。
フレッツ光とドコモ光の「光回線」の違いは?
フレッツ光とドコモ光が実際に使っている、光回線の違いから解説していきましょう。
結論から申し上げれば、どちらも同じ光回線です。
フレッツ光は光回線そのものですし、ドコモ光が使っている光回線もフレッツ光です。
一見すると「ややこしい」ですよね。
そもそも何でそうなっているのか?疑問を持つ方も多いと思いますが、フレッツ光はNTTの光回線サービスで、ドコモ光はドコモの光回線サービスと、単純に考えるのも少々実態とは異なっています。
全国に敷設されている光回線は数少ない
光回線をインターネットに利用するためには、光ファイバーケーブルという有線を利用者と個々に繋ぐ必要があり、街中を含めてケーブルの取り回しが必要になります。
光回線が敷設できる企業は限られる
そのため、電柱や地下に光ファイバーケーブルを設置しますが、既に何らかのインフラにまつわる事業を行っていて、これらの既存施設を運用管理している企業以外には、大規模に光回線を設置する事は事実上難しいと言えます。
そのため、実際に光回線のサービスを提供しているのは、電気を供給している電力会社やケーブルテレビ・有線放送を行っている企業が大半になります。
ただ、電力会社が提供している光回線は電力管内に限られ、ケーブルテレビ系は更に狭いエリアの範囲に限定されています。
これは、持っているインフラ施設の範囲が限られているためで、提供エリアを全国展開する事はできません。
フレッツ光は全国に敷設されている唯一の光回線
唯一全国レベルでインフラ施設を展開しているのが、古くから電話事業を行ってきたNTTで、電話で使っている電柱や地下設備を使って47都道府県全てに、光回線を敷設しています。
この光回線が「フレッツ光」です。
全国レベルで光回線のサービスを行っているのは、NTTのフレッツ光の他に「auひかり」「NURO光」がありますが、どちらもフレッツ光の使用していない部分である「ダークファイバー」を利用してサービスを提供していて、自社で敷設している光回線は少ないのが現状です。
フレッツ光を使う光回線サービスはNTTグループ以外の他社でも
実際に全国に敷設されている光回線は事実上NTT東西の「フレッツ光」だけなので、同じグループであるドコモ光が別の光回線を使う事はあり得ませんし、通信キャリアとしてはライバルになる企業が提供している光回線サービスの、「ソフトバンク光」や「楽天ひかり」も使用している光回線はフレッツ光です。
フレッツ光とドコモ光の違いは契約形態の違い
フレッツ光とドコモ光の違いは、光回線サービスでインターネットを利用する場合に必要な、接続業者プロバイダとの契約形態の違いです。
プロバイダが何か?から、ご説明していきましょう。
プロバイダとは?
(出典:NTT東日本)
インターネットを利用するためには、回線の他に接続業者プロバイダが必要です。
これは光回線に限らず、どんな回線を使っても同じです。
スマホプランでドコモを利用しているユーザーは、回線にドコモ回線を使いプロバイダもドコモが行っていて、ドコモから一括請求されるためにプロバイダの存在を気にする必要が無いために、プロバイダを利用してネットを使っている認識が薄いと言えます。
回線はプロバイダまでの接続を行っていて、プロバイダは契約している顧客のリクエストに応えるかたちで、膨大なwebの中から目的のサーバーまで接続を行い、情報を回線経由で顧客にリターンするのが、インターネットの一連の流れです。
NTTでは直接プロバイダ業務を行っておらず、フレッツ光は回線だけなので、フレッツ光を契約するだけではインターネットの利用ができません。
フレッツ光でもプロバイダの利用は必須であり、その契約形態は2つあります。
フレッツ光+プロバイダ別契約
(出典:NTT西日本*一部改変)
光回線であるフレッツ光の契約をNTT東西と行い、別途で接続業者プロバイダと契約を行う事でインターネットを利用する形態は、フレッツ光がサービス開始当初から存在しています。
この利用形態の事を、一般的には「フレッツ光」を利用すると言われています。
光コラボ契約
(出典:NTT西日本*一部改変)
もう一つのフレッツ光の利用形態が、光回線と接続業者プロバイダをワンセットにした「光コラボ」です。
NTT東西がプロバイダに光回線を卸し提供することで、プロバイダがインターネットサービスとして顧客と契約を結ぶため、NTT東西とユーザーは直接契約を結びません。
NTT東西の光回線フレッツ光を利用するのに、NTT東西と直接契約をしないのが、光コラボの特徴で、前述のフレッツ光とは大きく違う点です。
ドコモ光ではドコモがプロバイダとしての立場で、NTT東西からフレッツ光の卸し提供を受けて、光回線サービスとしてユーザーに提供しています。
フレッツ光とドコモ光の「ユーザー」の違いは?
フレッツ光とドコモ光は、契約するユーザー層に明確な違いがあります。
フレッツ光は法人契約が主流になっていて、光コラボは個人契約が主流であり、光コラボのドコモ光では更にドコモユーザーが大半になっています。
フレッツ光に法人契約が多い理由
フレッツ光をNTT東西と契約して、別途プロバイダを契約する利用形態は、法人契約が主流になっています。
その理由は以下の通りです。
NTTと直接契約のメリット
NTTは古くから電話を中心とした通信事業を行っていて、数多くの法人企業を顧客に持っている実績と歴史があります。
その豊富なノウハウは、NTTと直接付き合いが生じる事で享受ができるため、インターネットを含めた通信事業全般やITのビジネス利用など、法人が自社内に構築するシステムや回線に、NTTの持っているノウハウを如何無く活かすことができます。
ドコモ光を含む光コラボでは、NTTと直接契約を行わないため、法人の契約にはフレッツ光が多くなっています。
法人向けサービスが充実している
フレッツ光では、法人向けサービスが充実しています。
固定IPアドレスの利用や、VPNの利用・24時間サポートなど、数多くの使いやすい法人向けサービスが整っているため、フレッツ光は法人契約が多くなっています。
プロバイダを簡単に乗り換えられる
プロバイダによって、できる事や能力が異なっています。
法人が発展すると共に、システムの内容を一新する必要が出て来る可能性があります。
フレッツ光ではプロバイダが完全な別契約のため、現状契約しているプロバイダが対応できない場合でも、プロバイダだけを乗り換える事で対処ができます。
将来の発展性を見据えて、フレッツ光を選択する法人が増えています。
経費計上が容易
フレッツ光の法人契約は、請求書でのシメ支払いが可能になっています。
それに対してドコモ光を含む光コラボでは、請求書・領収書の発行は無く、クレジットカードでの支払いが一般的になっています。
経費計上の処理が容易である事から、フレッツ光の法人契約を選択する法人が多くなります。
法人契約のキャッシュバックはフレッツ光に限定
フレッツ光では契約に伴うキャッシュバックキャンペーンは、公式のNTT東西では行われていないケースが大半ですが、取り扱いのある代理店ではキャッシュバックキャンペーンが行われています。
これは代理店ごとに独自で行っているキャンペーンで、経費のかからない運営を行っているオンライン専門代理店が、手厚い内容のキャンペーンを用意しています。
代理店では複数のプロバイダも併せて紹介が受けられるため、疑問や質問なども併せてワンストップで行えて、利便性が高くなっています。
フレッツ光をNTTで契約しても代理店で契約しても、サービスや料金・サポートなど、一切の差違はありません。
フレッツ光の代理店契約で得られるキャッシュバックは、その対象が法人契約に絞られているケースが大半で、個人契約は対象外です。
逆に、光コラボでのキャッシュバックキャンペーン対象は個人限定で、法人は対象外になっています。
光コラボに個人契約が多い理由
フレッツ光の卸し提供を受けたプロバイダと契約する利用形態の「光コラボ」は、個人契約が主流になっています。
その理由は以下の通りです。
月額料金が安い
フレッツ光の月額料金とプロバイダの料金を足した金額よりも、ワンセットになっている「光コラボ」の料金の方が安くなります。
特にマンション集合住宅で利用する場合は、フレッツ光では同じ建物の利用者戸数によって月額料金が変わり、小規模なマンションや利用者数が少ない場合には月額料金が上がります。
しかし、光コラボをマンション集合住宅で利用する場合、同じ建物の利用者戸数に関係無く、月額料金は安価で一定になっています。
NTTと直接契約するメリットが無い個人契約では、安価に利用ができる光コラボの契約が当然多くなります。
窓口が1箇所で済む
フレッツ光の場合は、NTTとプロバイダの2箇所の窓口があり、支払い先も2箇所になりますが、光コラボの場合は1箇所で済みます。
そんな利便性だけでなく、トラブルが発生した時には窓口が一箇所で済むため、事態によって問い合わせ先を変える手間がありません。
窓口が1箇所で済む利便性を考えれば、個人契約に光コラボを選択するユーザーが多くなります。
個人契約だけでなく、インターネットが利用できれば良いと考える小規模法人やSOHOでは、代表者名義のクレジットカードで契約するケースも多くあります。
個人契約のキャッシュバックは光コラボに限定
光コラボでは公式HPでもキャッシュバックキャンペーンを行っている事がありますが、オンライン専門代理店では独自のキャッシュバックキャンペーンを展開しているケースも多く、公式で契約するよりも代理店契約の方が特典の両取りできてお得です。
公式HPでキャッシュバックキャンペーンが行われていない場合でも、代理店では行われている事があります。
フレッツ光と同様に、契約窓口によって月額料金やサポートも含めたサービスの差違は一切ありません。
代理店が行っているキャッシュバックキャンペーン対象は、個人契約に限定されているケースが圧倒的に多く、法人は対象外になっています。
ドコモユーザーにドコモ光利用者が多い理由
ドコモ光ユーザーは、スマホプランでドコモを契約しているユーザーが大半になっています。
その理由は以下の通りです。
ドコモユーザーへのアプローチ
ドコモのスマートフォンでインターネットへの扉を開いたユーザーが、その利用が広がっていく中で発生する「自宅に光回線を引きたい」というニーズに対して、ドコモが的確なアプローチを行っている事があります。
光回線を自宅に導入したいと漠然と考えているユーザーは、何処で頼んだら良いのか解らない方も多く、解らない事への不安も少なくありません。
全国のドコモショップでは積極的に店舗を訪れるドコモユーザーに対して、ドコモ光のアプローチを行っていて、店舗を訪れない顧客に対してもDMなどで勧誘を行っています。
行きつけのショップや信頼しているドコモからのアプローチだからこそ、ユーザーは信用して耳を傾けます。
そのためドコモ光ユーザーは、スマホプラン契約でドコモを利用しているユーザーが多くなります。
セット割が適用される
アプローチを的確にするだけでは、ユーザーの納得は得られません。
背中を押す方策として、ドコモユーザーが光回線にドコモ光を導入する事で、毎月のスマホ代が割引きされる「セット割」が適用されます。
スマホ1台につき最大で月額1,100円の割引きが受けられるため、家族5人でドコモを利用している場合では、最大毎月5,500円の割引きが受けられる事になります。
フレッツ光ではセット割が無いため、通信費トータル費用では大きな差が出る事は明白であり、他の光コラボではドコモのセット割を適用しているサービスが無い事が、ドコモユーザーのドコモ光利用者が多くなる一番の理由です。
セット割りは、アプローチを実際の契約に繋げるツールとしてだけでなく、光回線の利用は導入工事が伴うため、比較的長期間に渡って継続利用される傾向にあり、長期的にドコモを継続利用してもらう方策として機能していて、ドコモからの離脱者を防ぐ役割も担っています。